米格付け機関ムーディーズが2日、日本国債をAa3からA1へ格下げした。同機関が挙げた理由として、安倍政権が消費増税を延期したことにより、国債の返済が難しくなるとした。

しかし、米報道機関CBSによると、市場はムーディーズによる格下げを無視し、リオリエント・リサーチのウウェ・パーパルト氏は、「ムーディーズの言うことなんか聞くな。日本を買い続けろ」「ムーディーズの格下げは間違いだ。アメリカと違い、日本の国債は日本国民の貯金に賄われている。アメリカとの大きな違いはそこにある」と指摘した。

最近欧米では、日本経済に対する意見が多く出ているが、英誌エコノミストも、日本の国債と経済政策について報じている。

2012年の金融緩和によって経済が上向いていた中、今年4月の増税で日本は不況に陥ってしまった。前者で経済成長、後者で財政再建を進めてきた安倍政権だが、実際にはどちらがより重要なのだろうか。

同誌によると、日本政府が抱えている国債はGDPの240%。これは世界一であり、一見酷い数字だ。しかし、日本政府の関連機構が持っている国債を差し引くと、これは140%まで落ちる。しかも、全国債の90%以上は日本国民から借りているものだ。

また、政府が発行する国債の20%ほどは日銀がもっている。国債を返済するために日銀が紙幣を刷れば、インフレを引き起こすが、デフレの中で苦しむ日本にとっては、望むところだと同誌は指摘する。

つまり、日本の国債自体に問題はないというわけだ。それでも国債のGDP比率を下げたいのであれば、GDP成長を目指すべきだ。同誌が指摘するように、GDP成長を目指さずに国債のGDP比率を下げるのは非常に難しい。

さらに同記事では触れられていないが、日本国民の金融資産は国債を大きく上回っている。日本の国債は1000兆円ほどだが、国民の金融資産は1650兆円とされている。

これまで見てきたように、日本国債は他国のものと比べて非常に安心できる中身となっている。デフォルトする危険性はいまのところ極めて低い。

また、幸福の科学・大川隆法総裁は、近著「自由を守る国へ」で、欧米型のグローバルスタンダードに騙されず、「もっと日本標準というのを採用していったらいい」とした。

2008年の金融危機で、欧米の格付け機関は信用を著しく失った。CBSによると、日本の格付け機関、格付投資情報センター(R&I) や日本格付研究所は、ムーディーズと違い、日本国債の格付けを変更していないという。日本の国債状況は、日本の格付け機関が一番良く理解していることが伺える。

日本の国債を中国や韓国のそれより低く置く欧米の偏った意見などに振り回されず、日本は独自の視点を世界に向けて発信すべきである。(中)

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