アメリカで初のエボラ感染者が出たことを、政府当局が発表した。

感染したのは、西アフリカのリベリアからアメリカに入国したエボラ患者のトーマス・エリック・ダンカン氏の治療にあたっていた、テキサス州ダラス市にある病院の医療チームのニーナ・ファム氏。防護服を着用していたにも関わらず、感染したと言われている。

エボラ菌は、体液との直接接触で感染するため、アメリカ疫病予防管理センター長(CDC)のトーマス・フリーデン氏は「病院の医療チームによる何らかの手順違反があった」として、その感染経路を追っている。また、ダラス市の病院で、他の医療職員も感染した可能性があるとした。しかし病院側は、CDCの指示どおりに防護服の着用を徹底していたと報告している。

エボラ感染者の死亡率は高く、過去の統計では、感染地域によって25%から90%までの幅があるが、早期の治療が死亡率を大幅に下げるという報告もある。世界健康機関(WHO)は、エボラの死亡率を50%としている。

アメリカで公衆衛生は、憲法上、州政府の管理下にあり、CDCのようなアメリカ連邦政府下の機関は、州に招かれないかぎり介入することはできない。そのため、アメリカ国内でエボラの様な疫病を一括管理する機関がないため、州と連邦政府のエボラ菌への対応が遅れたという批判もある。

日本でも、厚生労働省から各都道府県の衛生機関に、エボラ熱発生時の対応手続きが散布されているが、実際各地の医療機関が、どこまで用意ができているのかは分からない。

いまのところ、日本国内でのエボラ熱発生報告はないが、現在のように国際化した世の中で、いつ海外から感染者が入国してきてもおかしくはない状態だ。空港で発熱者の検査をしても、8-10日ほどの潜伏期間を持つエボラ熱を見つけられるとは限らない。

海外におけるエボラ熱への対応から学び、それを生かした危機管理体制を日本で実施されることを望みたい。(中)

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