北朝鮮の指導者金正恩総書記が、9月3日のコンサート以来、1カ月以上姿を見せていない。

また、9月27日からは首都平壌に戒厳令が敷かれており、人の出入りが禁止されている。北朝鮮の国営通信社、朝鮮中央通信は、正恩氏が身体的な問題を患っているとしたが、それ以上の情報は出ていない。そんな中、今月10日午後に南北軍事境界線付近で両軍が銃火を交わすなど、両国間の不信感と緊張感が高まっている。

各マスコミの間では、彼の不在に関する噂が錯綜している。以下が主な噂の内容:

  • 肥満による歩行困難・足を怪我している。7月にテレビの前に現れたときには、足を引きずっている様子が伺えた。
  • 金正恩は重体か、既に亡くなっている。(10日付 米紙ザ・デイリー・ビースト)
  • クーデターにより、権力を剥奪された。(3日付 米紙ヴァイス・ニュース)
  • 妹の金与正が代行就任。(6日付 米紙グローバル・ポスト)
  • 自宅監禁説。(9日付 豪紙ABC・ニュース)

中には、スイスの学校に留学していたときに"培った"スイスチーズ中毒説まで出ている。(9月18日付 英紙デイリー・メール)

アメリカや韓国の政府筋は、クーデターが起こった証拠はなく、そのような噂を否定しており、正恩氏が依然として北朝鮮を完全に掌握しているという。そのため、現状では、彼が何らかの病気を患っているという説が最も有力だ。(8日付 米紙ニューヨーク・タイムズ)

また、欧米の諜報機関は北朝鮮の指導者の死亡説などについては慎重である。1986年にも、当時の指導者だった金日成氏が自らの偽死亡情報を流して韓国やアメリカの反応を見るなどしており、情報の裏づけを取ることが難しい。

北朝鮮は、内部の正確な情報を得ることの難しさゆえ「情報ブラックホール」と欧米の諜報機関の間では呼ばれており、今回の正恩氏の不在に対するマスコミの困惑ぶりもうなずける。

南北朝鮮の軍事境界線は、世界で最も厳重に武装された地域であり、両国の経済力・軍事力の差にも関わらず、もし戦争が再発した場合は、韓国にも多大な犠牲者が出ると言われている。それゆえ関係各国は北朝鮮の動向に神経を尖らせている。

北朝鮮の不安定化は、極東と世界にとって大きな懸念材料だ。日米韓は、不測の事態に備え、国防力と危機管理能力を向上させ、金体制の平和的な崩壊と北朝鮮の開国に向けて、連携した政策をとる必要がある。

日本は、集団的自衛権の行使容認、憲法9条改正、難民輸送にも使用できるオスプレイ配備、自国の防衛産業の向上など、周辺国の脅威に晒されている国として当然の処置を、早急に取るべきである。(中)

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