今年のノーベル物理学賞受賞者に、青色発光ダイオード(LED)開発に功績のある赤崎勇・名城大教授と天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カルフォルニア大サンタバーバラ校教授の3人が選ばれた。

赤崎氏と天野氏は、名古屋大学で実験を繰り返し、青色発光ダイオードを開発。また、中村修二氏はダイオードの量産化に成功し、世界初の製品化を実現した。この青色発光ダイオードの開発によって、赤色、緑色発光ダイオードと合わせて全ての色を出せるようになり、照明やテレビなど様々な製品の開発につながった。

受賞のニュースは8日付各紙の一面を飾った。しかし、発表後に注目を集めたのは、中村氏がアメリカ国籍となっていたことだ。

中村氏は、2001年、青色発光ダイオードの開発当時、所属していた日亜化学工業を相手取って裁判を起こしたことで有名になった。開発で会社にもたらした利益と比べ、自身が得た対価があまりに少ないとして、会社に200億円の支払いを求めたが、最終的には会社側が中村氏に約8億円支払うことで和解している。

今回の記者会見でも中村氏は、日本の研究者が抱える問題について次のように話した。

「日本の会社で発明してもボーナスをもらうだけ。アメリカでは会社を立ち上げられる」「日本はしがらみ、年齢、年功序列とかで、本当に自由にのびのびと研究できる環境ではない。日本の科学者、技術者が永遠のサラリーマンみたいになっちゃう悪いシステムがある」

中村氏同様、これまでにノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏は1970年にアメリカ国籍を取得。また、国籍は変えていないものの、江崎玲於奈氏も受賞時はアメリカで研究していたし、化学賞を受賞した下村脩氏や根岸英一氏もアメリカ在住だった。国を豊かにする優秀な科学者が、日本を出て行ってしまっているのが実情だ。

中村氏は2000年に渡米した時のことを振り返り、「共産主義の国から、自由主義の国に引っ越した感じだった」と話す(8日付産経新聞)。STAP細胞の論文をきっかけに、日本の科学界では「ガバナンス」を強化し、「信頼性」を高めることが大事だという議論が繰り広げられている。しかし、管理ばかりで自由に研究ができなくなれば、新たな発見は出なくなる。

日本の研究人材の空洞化は現実に進んでおり、このままでは海外流出は加速する。今年、日本の科学界は注目を浴び続けているが、今こそ「自由主義」へと生まれ変わることが、科学技術立国を目指すための必須条件と言える。(晴)

【関連書籍】

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幸福の科学出版 『ロケット博士・糸川英夫の独創的「未来科学発想法」』 大川隆法著

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