法話抜粋レポート
幸福の科学の「幸福学」こそ、今、最も研究すべき学問
「幸福学概論」
2014年8月10日収録
2015年の開学を目指している幸福の科学大学(仮称・設置認可申請中)。
本大学では、「幸福の科学教学」において大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁が発刊した1700冊近い書籍に説かれている「幸福論」を研究し、長期的に学問化することを目指している。
膨大で多岐にわたる学問が、人々の悩みや対立を解決し、社会の発展に貢献してきたことは論を待たないが、人々の価値観は多様化の一途を辿り、社会、国家、世界において日々起きる問題は複雑化し続けている。こうした現在進行形の問題に対し、学問は専門分化することで対応しようとしているものの、後追いの感は否めない。
こうした現代において、「幸福学」はどのような使命を担った学問なのか。また、幸福は学問的探究の対象となりうるのだろうか。
「幸福」への学問的探究はまだ浅い
今年1月、NHKで「『幸福学』白熱教室」が放送され、コロンビア大学のエリザベス・ダン博士ら専門家が「幸福」のメカニズムを解明していく様子が特集された。
個人の強みや積極性を扱う「ポジティブ心理学」や、社会福祉などの観点から幸福を考える「ウェル・ビーイング」、さらに医学的観点から見た脳機能などを統合する新しい学問として注目を集めているという。ハーバード大学でも「幸福学」講座は高い人気を誇っており、最近では、日本でも脳学者が書いた幸福学に関する本が出版されるなど、幸福を学問的に研究する動きが活発になっている。
また、国連は3月20日を「国際幸福デー」に定め、2012年から毎年、加盟国を対象に「幸福度」調査を行っている。富裕度、健康度、人生の選択における自由度、困ったときに頼れる人の有無、汚職に関するクリーン度や同じ国に住む人々の寛大さなどを基準に評価し、2013年の報告書ではデンマークが1位、アメリカは17位、日本は43位だった。
幸福について分析する試みは良いとしても、こうした評価基準のうち、何を重視するかは人それぞれの価値観次第であり、十分な客観性や信憑性を持つものとは思えない。
本法話の冒頭、大川総裁は、こうした現状の幸福学は通俗哲学のレベルに留まっているとし、 「ハーバードでのこういう学問的試みは、“幸福学の総本山"とでもいうべき宗教から見れば、非常に底の浅いものです」 と指摘した。
洋の東西を問わず、宗教は古来から人間が幸福になる道を人々に教えてきた。キリスト教の隣人愛や許しの思想、金銭や名誉などへの執着を離れることを説く、仏教の諸行無常や八正道の教えなどが代表的だ。
大川総裁がこれまで積み重ねてきた2千数百回の説法も、「幸福論」「幸福学」に関わるものであり、宗教は基本的に「幸福学」を説いている。
宗教は、実践の結果が問われる学問
現代の宗教学者が言うように、「宗教とは、貧・病・争を解決するものだ」という見方もできるだろう。貧しさや病気の苦しみ、人間同士の争いは、時代や地域を超えて人の悩みや不幸の原因であり続けている。宗教は、これらを解決することで幸福を実現してきたわけだ。
従来の宗教は、仕事を通して社会に貢献するモチベーションの理論で、貧しさからの克服を勧めたり、天理教の「陽気ぐらし」やキリスト教の愛の思想などで、争いごとを鎮める役割を果たしてきた。
大川総裁はさらに、会社などでリーダーを目指すための成功理論や、事業経営などに携わっている人に組織運営の方法を示すことによって、「貧」の問題をもう一段大きなスケールから解決する道も明らかにしている。松下幸之助や二宮尊徳、渋沢栄一、ナポレオン・ヒル、P・F・ドラッカーなど、数多くの経営者や経済学者の思想が大川総裁の考察の対象となり、説法の中でさまざまに言及しているのはそのためだ。
また、個人同士の争いを超えて、国家間や宗教間、民族間のマクロ的な紛争を解決に導くことも、発展した宗教の義務と捉えている。
こうした観点から、外交問題や歴史問題、政府の経済政策などにも数多くの提言をなしており、これらはすべて人間の幸福をいかにして実現するかという観点に立ったものだ。
宗教は、「貧・病・争」という切り口から人々の幸福を目指していくが、その教えを学んで実際に幸福になったか否かによって、その教勢が左右されるのは歴史を見ても明らかだ。大川総裁はこの点を指摘して、 「宗教の活動自体は、『実践幸福論』とも言うべきものであると思います」 と述べ、知識としてのみ教えるレクチャー型の学問よりも、一層の厳しさを伴っていることを強調した。
哲学は本来「幸福学」だった
大川総裁はさらに、宗教だけではなく、哲学も本来は「幸福学」であることに言及。
ソクラテス、プラトン、アリストテレスという3人の天才哲学者は、現代の諸学問の源流に当たる存在だが、その中でも特に体系的な思想を遺している言われるアリストテレス自身が、「哲学というのは幸福の探究なのだ。どうすれば人間が幸福になるかを探究する学問が哲学なのだ」と述べていることを指摘。
さらに大川総裁は、アリストテレスがその著書、『形而上学』のなかで、「知識を求め、知を求めるという本能を持っている」と人間を規定していることに触れ、 「幸福を求めるための知識が体系化され、さまざまに発展していって諸学問になるわけです」 と学問の本質を看破した。
哲学も本来は「幸福学」であり、幸福という概念を探究し、知識化していくことは、学問的姿勢の根本に当たるものだと言える。
ここで見落としてはならないことは、ソクラテス、プラトン、アリストテレスがそれぞれ「霊魂」や「あの世」の存在を認めていたことだ。
肉体を持って数十年の人生を生きる人間の幸福とは、単にその間、喜びの多い時間を過ごせばよいと考えていたわけではない。地上を去った後の世界があり、人間の本質は霊魂であるという世界観・人間観が、その根底にあったのだ。
大川総裁が説いている「幸福論」「幸福学」も、こうした霊的人生観が大前提となっており、現代の学問との決定的な違いはここにあると言える。現代の学問は、カントやデカルト以降、霊的なものを学問の対象から外す傾向が強くなっているが、学問の源流に当たる哲学者たちの立脚点から外れていることは看過できない。
フランス革命や共産主義革命など、神や霊魂の存在を排除した学問が、その後、人類史の中で引き起こしてきた出来事や学問的成果は、本当に人間の幸福に寄与してきたのだろうか。大川総裁は、それらを検証することも、幸福の科学大学における「幸福学」の研究テーマに含まれると述べた。
大川総裁の1700冊近い書籍では、宗教、思想、政治、経済、教育、科学など人間のあらゆる活動、また学問的視野から生まれたさまざまな知識や考え方に関して、幸福論的観点から探究された成果が説かれている。
これらを「幸福学」として抽出し、取りまとめていく作業は極めてアカデミックなものであり、個人で成しうるものでは到底なく、大学機関での専門的で長期的な研究が必要な段階が来ているのだ。
新たな学問的潮流を止めるべきではない
本法話の中では、文部科学省の大学設置審議会において、関係者らが大川総裁の文献を十分に読み込んでいないままに、「(幸福の科学教学に)学問的蓄積が足りない」などと指摘してきていることにも言及されている。
戦後、公教育の現場を始め、日本では宗教に関して否定的な態度が続いてきた。「信教の自由」「学問の自由」が憲法で認められているにも関わらず、大学内で布教活動はおろかサークル活動を行なうことすら規制されたり、事実上、無神論や唯物論に基づく講義がほとんどを占める現状にある。
もし、大学設置に関する法令等においても、憲法の精神に反するものがあるならば問題だ。すでに、キリスト教系や仏教系の大学は日本に数多く存在する。伝統宗教が大学をつくるのは良いが、新しい宗教は認めないというならば不公平であり、「信教の自由」「学問の自由」を保証しているとは言い難い。
憲法においては、「宗教に対して、国家権力は介入しない」という立場が謳われている。であるならば、宗教系大学の設置は寛容な態度で認められるべきであるし、少数の人が密室で行う審議会によって正邪が判断され、その議論を公表することもなく、また、その責任を所管の大臣も役人も審議委員も負わないシステムが出来上がっているならば、「学問の自由」の弾圧と言わざるを得ない。
「日本国憲法においては、『憲法に反するところの法令や条例、その他、政令等の一部、または、全部は無効である』ということが明らかに説かれているわけです」「法律や通達レベルのもので、憲法で定められた『人間の基本的人権』を侵しては相成らないと考えています」
幸福学は、個人の人生全般を始め、組織、社会全般、国家全般、国家間、世界レベルでの幸福とは何かを探究し、目指すべき未来を指し示すという大きなテーマを含んだ学問である。
これまで人類が積み上げた学問に、新たな方向性を与える可能性に満ちたものであり、世界で求められている「幸福とは何か」という問いに真正面から応えるものだ。
今、起きようとしている新たな学問的潮流に対し、旧態依然とした考え方で水を差すべきではないだろう。
本法話では他にも、以下のような点について触れられている。
- 経営と宗教の意外な関係。
- アメリカのグローバリズムを超える宗教的な智慧とは。
- フランス革命以降、近代政治が失ったものとは何か。
- 「知る権利」から見て、実は世界に遅れを取っている日本。
- 戦後の歴史はなぜ清算しないといけないのか。
- マックス・ウェーバーが見落とした日本独自の資本主義精神。
- 民主主義と宗教はなぜ両立するのか。
ここに紹介したのは法話のごく一部です。詳しくは幸福の科学の施設で、ぜひご覧ください(下記参照)。
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