昔の自分に電話できる日が近づいているかもしれない。
オーストラリア・クイーンズ大学の研究チームが、素粒子の一つである光子を使ったタイムトラベルをシミュレーションしたところ、ごく小さな空間での光子のタイムトラベルでは、通常、タイムトラベルで想定される矛盾が、結果に影響を与えないことがわかった。科学誌「ネイチャー コミュニケーションズ」に発表した。
これまでタイムトラベルの可能性については、物理学でさまざまに議論されており、ある時間と過去の時間をつなぐ「ワームホール」の存在も示唆されている。しかし、タイムトラベラーが過去にさかのぼって自分の親が生まれない状況を作ってしまった場合、本人自身も生まれないという矛盾が生じる、「親殺しのパラドクス」があるため、実際には時間をさかのぼることはできないのではないかという意見が主流だ。
しかし、今回発表された研究では、光子のタイムトラベルは上記のパラドクスに引っかからず、過去に送られた光子は、未来と矛盾する振る舞いもできたという。
このシミュレーション実験では、2種類の結果が出た。1つの光子をある時間aから過去の時間bに送ると、その光子は時間bに存在した、昔の光子自身に影響を与えた。つまり、タイムトラベルにより過去を変える、ということが起きた。また、ワームホールを通る際に、ワームホール内に閉じ込められた別の光子の影響を受けてから、過去に送られる場合もあった。
この実験は、人間など大きな物質のタイムトラベルについては想定しておらず、あくまでシミュレーションではある。しかし、もしも光子を通じて情報だけでも過去とやり取り出来るなら、過去の自分にアドバイスをしたり、警告をしたりといったことも出来るかもしれない。(居)
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