習近平・国家主席が、アジア支配の攻勢を強めている。

習近平氏は20日、中国を訪問したロシアのプーチン大統領との共同声明に、中露で開催予定の第二世界大戦戦勝70周年行事について「ドイツのファシズムと日本軍国主義」への勝利を祝うものであると明記し、日本の歴史認識を見直す動きに対しても、中露で共闘する姿勢を表明するものとなった。

同行したロシアのガスプロムは、10年来の交渉が続いた中国へのガス輸出の契約を合意。欧米によるロシア制裁が続く中、経済的にも中国に接近せざるを得ないロシアの立場が見え隠れする訪問となった。

欧米にとって懸念すべき、中露の接近が具現化しつつあると言える。

実際、この翌日に上海で開かれたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)のなかで、習近平氏は「アジアの問題はアジアの人々が処理し、アジアの安全はアジアの人々が守る」と発言。さらに、「第三国に照準を合わせた軍事同盟の強化は、地域の安全維持のためにならない」と述べ、日本や韓国、フィリピンとの同盟関係を強化するアメリカを牽制。アジアからアメリカを追い出し、中国が安全保障秩序を主導する意図を国際社会に表明した。

しかし、アジアの秩序を壊し、近隣諸国を脅かしているのは、他でもなく中国自身である。中国公船のベトナム船への衝突や、南沙諸島での中国の軍事基地の建設など、中国は南シナ海への侵出を進めている。CICAに参加したベトナムのゾアン国家副主席は、「武力の使用、威嚇は行わないとの原則が重要。ベトナムは原則を堅持し、中国も守るべき」と発言。日本からオブザーバー参加した、北京の日本大使館次席公使の堀之内秀久氏は「国際法に基づき、紛争は平和的に解決すべきだ」と中国の自制を促した。

さらに21日には、フィリピンのアキノ大統領が、ベトナムのズン首相との会見後の声明で、「中国による多くの国際法違反行為によってもたらされている非常に危険な状況について、深い懸念を共有した」と、中国を名指しで批判した。

こうした状況下で、中国がアジアの安全保障を主導するなどという発言は、覇権拡大を宣言しているのに等しい。ロシアとの結びつきが強まれば、中国はますます露骨な態度に出てくるだろう。

日本で続く集団的自衛権の行使容認の議論や、フィリピンへの米軍基地再駐留など、アジア諸国の安全保障体制の強化は、すべて中国包囲網づくりの一環だ。そして、本来ならば日本がロシアを中国包囲網に引き込まなければならない。アメリカの意向に配慮しすぎることなく、ロシアと経済面、外交面での協力を進めなければならない。ロシアが、中国と日本のどちらと協調するかが、アジアの命運を大きく分けることになる。(晴)

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