インド宇宙研究機構が、同国初の火星探査機「マンガルヤーン」の打ち上げに成功したと23日付インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙が紹介した。
火星探査機は2014年9月に火星に到着する予定で、半年ほどかけて地形や土壌、大気など5つの調査を行うという。インドは宇宙開発に力を入れており、2008年には無人探査機を月の軌道に送り、16年には有人宇宙船の打ち上げを目指している。今回の火星探査プロジェクトも成功すれば、アメリカや旧ソ連、欧州宇宙機関に次ぐ4番目となる。
同記事は、「宇宙開発は人々の関心を科学に向けることで、古い迷信を取り払う効果がある」ことを強調している。インドでは占星術が重要な影響力を持っており、いまだに就職活動や結婚などの様々な場面で占いの結果が考慮される。また、日食には悪魔的な力が関わっていると考えられ、1980年の皆既日食の時には、人々は日食の影響を恐れて家の中から出られなかったほどだ。
その後の科学的啓蒙により、1995年に起きた日食で人々はフィルターグラスを使って観測するまでになった。今回の火星の探査でも、多くの人の意識が科学的なものに向く効果が期待できるという。
しかし、火星の探査は人々の迷信を取り払うだけではない。人口100億人時代を控えた今、宇宙は人類にとってのフロンティアであり、アメリカやオランダなどの国は現実に移住計画を持っている。オランダの民間団体「マーズ・ワン」は2023年の火星移住を目指しており、この計画では地球に帰ってこられないものの、世界からの応募総数は20万人を超えた。
もちろん今回の火星探査に挑戦したことで、インドは技術力を飛躍させることができるし、衛星打ち上げを海外から受注するという経済効果も期待できる。その上、国境を接する中国に対しては、軍事的な抑止力にもなる。宇宙開発は今後ますます、先進国と認められるための欠かせない条件になるだろう。
インドだけでなく、タイやバングラデシュなど東南アジアの国々も人工衛星の運用などで宇宙に挑戦し始めている。日本は有人宇宙飛行の計画をまだ持っていないが、潜在的な技術力は高い。これからの巻き返しが期待される。(居)
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