世界の宇宙開発が加速している。アメリカで民間会社が火星移住計画を出しているのをはじめとして、各国政府は有人宇宙飛行に熱を入れ始めている。一方、4月から始まる日本の宇宙基本計画では、ISS(国際宇宙ステーション)への予算400億円を縮小する意向を示した。理由は、「有人宇宙よりも先にやることはある」からだという(5日付日経新聞)。
宇宙開発の各国の状況はどうなっているか、以下にまとめてみた。
まずはアメリカ。民間企業Xスペース社の8万人火星移住プロジェクトのほか、NASAとヨーロッパ宇宙機関とで協力して、有人宇宙船「オリオン」を開発すると発表している。17年に新システムを用いた無人での打ち上げを行い、その後、有人での月以遠のミッションに挑戦するという。
欧米では、月面に有人ステーションを作るための機械の研究を行っている。イギリスの協力会社によると、真空中での実験では、約1週間で建物をつくることができる見通しが立っているとのこと。
中国は2003年に独力で有人宇宙飛行に成功。12年の科学分野への研究費は約14兆円だった。今年6月には、有人宇宙船でのドッキング実験を行う。ちなみに中国は今年、人工衛星など20基の打ち上げを計画している。
ロシアも2030年代に月面に研究施設を作る構想を持っている。建設資材は月面で調達する予定で、20年までに月への有人飛行を行う計画だ。
オランダには民間企業の打ち出した「マーズ・ワン」という火星移住計画がある。16年から無人宇宙船で資材を火星へ送り、その後、22年から4人ずつ送りだして、コロニーを形成する予定。ただ、現在の技術では火星からの帰りの燃料を用意できず、地球には帰れないのが難点だ。
イランは今年1月28日、人間ではなく猿をロケットに乗せて宇宙空間へ打ち上げ、その生還に成功している。2月4日、アフマディネジャド大統領は「自らがイラン人初の宇宙飛行士になる」と宣言し、宇宙開発への意気込みを示した。
ちなみに北朝鮮は、YouTubeに2日、「主人公が有人宇宙飛行をしている夢を見る」という主旨の約3分半の動画をアップしているが、これはこれまでの長距離ミサイル打ち上げ実験を「平和利用」とアピールするためだろう。
日本はこれまでに、「はやぶさ」で人類初の小惑星サンプルリターン実験に成功するなど、宇宙技術力は高い。そして、各国の動きに見るように、宇宙はフロンティアとして限りなく広い。
幸福実現党は未来産業育成の1つとして宇宙産業を挙げており、航空やロボット、海洋開発などを含めた未来産業に対し、10年で100兆円投資するというプランを出している。「先にやることがある」と先送りにすれば、日本の宇宙産業の未来はなくなる。宇宙には日本の未来もかかっているのだ。(居)
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2013年1月21日付本欄 オランダの非営利団体が2023年から火星移住計画
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5488
2012年12月2日付本欄 「火星人」誕生に向け 火星に8万人移住計画