2014年1月号記事

The Liberty Opinion 4

「人物本位」の大学入試制度改革は「ゆとり教育」への回帰

政府の教育再生実行会議は10月、大学入試制度改革に関する提言を安倍晋三首相に提出した。

本提言は、現在のセンター試験に代わって、「基礎」「発展」レベルの2種類の「達成度テスト(仮称)」の導入を目指すもの。

「基礎」レベルのテストは、在学時に複数回受けることができ、その結果を各大学が推薦入試やAO入試(注)に活用する仕組みだ。「発展」レベルのテストは、学生の成績を一点刻みではなく何段階かのランクに大別して、各大学はそれに加え、面接や論文、高校時代の部活動やボランティア、留学経験などの「人物本位」で合否を判定する。

下村博文・文部科学相は「多面的・総合的な能力・意欲・適性を評価する選抜への転換」としている。だが、各方面から「合否の判断根拠が不透明で、受験生の不安感を募る」「人物本位は結局、『育ちの良さ』を見ることになり、社会の階層を固定化する」など、さまざまな批判や疑問が噴出している。