オバマ米政権が窮地に陥っている。看板政策である新医療保険制度(通称・オバマケア)の加入手続きで不具合が相次いでいるからだ。
来年1月から医療保険への加入が義務づけられるのを前に、10月からインターネットでの申し込みが始まったが、ポータル・サイトのエラーや反応が遅いといったシステム障害が続出。政府は10月末までに50万人の手続きが完了すると踏んでいたが、実際には約10万人にとどまった。
問題はこれだけではない。これまでオバマ大統領は、既に医療保険に加入している場合は、その保険プランを継続できると説明していたが、新制度の基準を満たさないプランに加入していた人に解約通知が届くケースが相次いだ。オバマ大統領は謝罪するとともに、これらのプランの契約の1年延長を認めると発表するまでに追い込まれた。
再選を意識せずに済む2期目に入り、独自の政策をさらに進めると見られていたオバマ政権だが、世論の逆風が吹き始めている。調査会社ギャラップが18日に発表した世論調査では、「国民皆保険は政府の責任ではない」と答えた人が56%に上り、2000年の調査開始以来、最も多くなった。オバマ政権の福祉国家路線に国民が「NO」を示した格好だ。ワシントン・ポスト紙とABCテレビが行った最新の調査では、大統領の支持率はひと月前から6%落として42%。不支持率は就任以来最悪の55%に達した。
米下院は15日に、オバマケアの基準を満たさない保険商品への契約の1年延長などを認めるオバマケア修正法案を可決したが、大統領の身内である民主党からも39人の“造反"が出るなど、オバマケアのトラブルをめぐる不満は党内でも高まっているようだ。クリントン元大統領もこのほど、制度変更が必要との認識を示している。
オバマ政権下でアメリカの左傾化が危惧されてきたが、「保険に入るも入らないも個人の自由であり、政府が決めることではない」という認識は根強いといえる。こうした、自由を重んじるアメリカ的な声が、さらに広がることを期待したい。
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