アメリカ南部バージニア州知事選が5日(現地時間)、投開票され、クリントン元国務長官の側近で、民主党のテリー・マコーリフ元党全国委員長が大激戦の末、初当選を決めた。各メディアは、オバマケアに反対し、16日間に及ぶ連邦政府機関の一時閉鎖を招いた共和党陣営を批判して逆風を吹かせたが、それが今後のアメリカにとって、本当に正しい方向性か否かを、改めて考えるべきだ。

今回、共和党の候補者だった州司法長官のケン・クッチネリ氏は、オバマ政権が掲げる医療保険改革制度(オバマケア)に対して真っ向から批判を繰り広げた。当初、大差で落選すると予想する向きもあったが、フタを開けてみれば、得票率2%という僅差の大接戦。あと一歩及ばなかった。

バージニア州はかねてより民主・共和両党のどちらにも色分けされない激戦州で、同州の知事選の結果は、時の政権運営、中間選挙、大統領選の行方にも影響を与える。それゆえ今回も全米の注目を浴びたが、選挙戦で各メディアは、短絡的な共和党批判に走ったように映る。

「(共和党の)ベイナー下院議長は政府機関閉鎖を避けられたはずだ」(米ニューヨーク・タイムズ紙)

「オバマケアは多くの国民を助けるだろう」(米ワシントン・ポスト紙)

いずれも、「オバマケアに納得がいかない共和党が、暫定予算を人質にとって議会を混乱に陥れ、政府機関の閉鎖を招き、その結果アメリカ国民や世界経済に多大な損害を与えた」という構図を描き、共和党を批判したのだった。

しかし、共和党の反オバマケアの奥にあるのは、「自由」や「民主主義」というアメリカ建国の精神であろう。共和党は10年、12年の中間選挙で「オバマケア撤回」を掲げて勝利したが、これを無視したオバマ政権・民主党の“独裁"を放っておいてよいのか。

聞こえのよい「オバマケア」が実施され、アメリカ国民が自助努力の精神を失い、多くの人々が政府に面倒を見てもらうような状況になれば、「自ら身を立て、豊かになろう」という建国以来の精神が失われる。それはすなわち、アメリカのさらなる衰退を意味する。また、福祉のための増税や保険に入らない場合の罰金は、アメリカの国家観から見れば、国民の経済的「自由」を奪う典型であり、私有財産への介入と言える。

メディアの使命は、「善悪を見分け、真実を伝える」こと。過度な共和党バッシングは、自らの"アイデンティティ"を傷つけ、国を弱くすることを知らなければならない。(原)

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2013年12月号記事 反オバマケアの共和党に一定の正しさ ? The Liberty Opinion 1

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2013年11月4日付本欄 米バージニア州知事選 5日投開票 結果は「オバマケア」の行方に影響与える

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6884

2013年11月3日付本欄 オバマケアで保険料が値上がり 「国民皆保険」に危機?

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