米航空宇宙局(NASA)はこのほど、火星探査機キュリオシティの調査で、火星の土に重量にして2%程度の水が存在することが分かったと発表した。火星で飲み水を調達できる可能性が高まり、火星移住計画の実現が一歩近づいた。

キュリオシティは火星に着陸した昨年8月から、100日間に集めた情報を分析した。火星の土を掘り起して835度に熱し、出てきた気体を解析した結果、酸素や塩素と共に、重量にして2%程度の水が観測された。これは、30リットルの土から1リットルの水を取り出すことができることを意味するという。これまでにも、火星にかつて大量の水が存在した痕跡は発見されていたが、現在も火星に水があることが分かったのは画期的と言える。

米レンセラー工科大学のローリー・レシン科学部長は米メディアに対し、「足元の土から簡単に水を取り出せることが分かって本当にうれしい。しかも火星のどこもそうである可能性が高い」と語っている。

発表に先立つ8月、NASAなど世界の宇宙機関で組織する「国際宇宙探査協働グループ」は、有人火星飛行実現に向けた工程表を更新した。工程表では、火星に人を運ぶ予定の宇宙船やロケットを、それぞれ2014年と17年に無人で打ち上げるとしている。

しかし、火星で暮らすためには、様々な物資を大量に運ぶ必要がある。食料などの消費期限は現在の1年半から伸ばす必要があり、宇宙船内で食料をつくるためにカイコなどを利用する計画もある。

中でも、生命維持に欠かせない飲料水について、現在、国際宇宙ステーション(ISS)では、飛行士の尿や水蒸気などの再利用に取り組んでいるが、再利用率は約70%に留まっている。こうした中で火星に水が発見され、水を現地調達できる可能性が高まったということは、火星移住の現実味が高まったことを意味する。

乗り越えるべき課題はまだまだあるだろうが、火星に水があるという発見は火星移住計画に向けた大きな一歩に違いない。(居)

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