安倍首相が、アメリカの保守系シンクタンク「ハドソン研究所」から、国家安全保障に貢献した指導者に送られる「ハーマン・カーン賞」を受賞した。アメリカ人以外では初の受賞となる。安倍首相は受賞を記念した会合で演説し、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しに理解を求め、アメリカと連携して世界の平和と安定に貢献していく決意を示した。

演説では、「日本のすぐそばに、軍事支出が日本の2倍あり、毎年10%以上の伸びを20年以上続けている国がある」と中国を牽制。その上で「日本は11年ぶりに防衛費を増額したが、たった0.8%に過ぎない。私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであれば、そう呼んでいただきたい」と堂々と述べた。

首相の主張は真っ当なもので、日本もようやく当たり前の国に近づいたといえる。

ただ、「日本の防衛費の増額はたった0.8%に過ぎない」と威張って(?)いる点は少しいただけない。

安倍首相が、世界の平和と安定に貢献する決意を本当に固めたのなら、中国の軍事力増大を黙って眺めているわけにはいかない。

とはいえ、これ以上税金で防衛費を増額することは理解が得られないという意見もあるだろう。また、まだ決まったわけではないが消費税が増税されたら、経済は傾いて財政は苦しくなる。

そこで提案したいのが、税金以外の方法で軍事費を増額しようとしている中国に負けないことだ。

27日付読売新聞によれば、中国海軍を支える軍需産業が、日本円にして1360億円分の株式を発行して資金を調達し、空母建造などに使おうとしているという。

日本の場合は、国防目的の「国防国債」を発行したり、政府や民間企業が一体となって出資する「国防ファンド」を設立したりすることが考えられる。

石原慎太郎前東京都知事が、「東京都で尖閣諸島を購入する」と述べたら、14.7億円の寄付金が集まったことを見ても、「日本を守るために資産を役立てたい、それで配当がつくならもっとありがたい」と考える国民は多いはずだ。

中国の台頭をよく思わないアメリカや東南アジア諸国の政府や富豪たちからの投資も見込まれる。

現在、中国の軍事費は、公表されているだけで日本円にして約11兆円以上だが、外国の装備を調達する費用などは含まれないため、実際はもっと多いのではないかとされている。今回発行される株式も、特定の投資家に絞って募集するため、もともと不透明な軍事費の情報公開は進まず、今後もっと肥大化していくことも考えられる。

平和を愛さず、自由を抑圧する国が軍事費を増大させようとしているなら、平和と自由を愛する日本こそ、国防費の調達先を多様化し、中国の脅威に備えるべきである。(佳)

【関連記事】

2013年8月9日付本欄 海自の「ヘリ空母」を警戒する中国 調査の"名を借りて"軍拡しているのはどの国だ?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6467

2010年7月号記事 【民主党政権から日本を守れ】(4)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=919