アメリカとロシアは、シリアの化学兵器を2014年前半までにすべて廃棄させる枠組みで合意した。当面の軍事介入の回避に向けて米ロの思惑は一致したが、米国は「武力行使」を明記できず、玉虫色の解決に折り合いをつけさせられた格好。譲歩を迫られた色彩が強い。

今後は、最初の関門として1週間以内に、シリアに保有する化学兵器をすべて申告させ、11月までに最初の査察を受け入れさせられるか否かが争点となる。

ケリー米国務長官は14日の記者会見で、化学兵器の関連施設については、シリアのアサド政権が掌握しており、査察は可能という見方を示した。だが、2年間も化学兵器の保有すら認めてこなかったアサド政権が、今後、素直に協力すると考えるのはあまりに安易ではないか。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は13日、アサド政権は約1年前からシリア西部の数カ所に保管していた化学兵器の移動を開始。全国50カ所に分散させた、と伝えている。

また、内戦中のシリア国内では、化学兵器を安全に移動させ、管理、破壊することへの難しさも指摘されている。化学兵器の完全廃棄には、和平や停戦などを含め、内戦そのものを沈静化する必要がある。つまり、アサド政権による自国民の殺戮が終わっていなければならない。アサド大統領を排除しなければ、化学兵器の廃棄さえままならないのだ。

だが、今回の米ロ合意で定めた完全廃棄の履行を求める期間は、アサド政権の延命を保障するものであり、さらにシリア国民の犠牲者が増えることを意味する。

シリアでは、これまでに10万人以上の国民が亡くなっている。その99%は政権側のスカッドミサイルや砲撃による死者であり、化学兵器によるものではない。子供たちが授業中に爆撃に遭ったり、今この瞬間にも反体制派側の拠点では無辜の市民が爆撃で亡くなっている。

オバマ大統領が9月11日(日本時間)、限定的な軍事介入について国民の理解を得ようとした演説(President Obama's Address To The Nation On Syria)の直後、大川隆法・幸福の科学総裁は、アサド大統領の守護霊を呼んで、霊言(「Spiritual Messages from the Guardian Spirit of President Assad ―アサド大統領のスピリチュアル・メッセージ―)を収録した。

その中で、アサド大統領の守護霊は、正義とは彼の信じる「神」の命令に背く者を殺すことだ、と述べるなど、その姿はまさしくフセインなどと同じ「独裁者」そのものであった。

オバマ大統領は演説で、「アメリカは世界の警察官ではない。すべての悪を正すのは、我々の財政力を超えている」と述べた。だが、10万人以上を殺したアサド政権が何ら罰せられることがなければ、北朝鮮や中国、イランのような国家にも、独裁のお墨付きを与えることになり、国際社会の秩序が崩れてしまう。

今回の米ロ合意では、アメリカはかろうじて「軍事介入を放棄していない」と解釈している。これ以上シリアの犠牲者を増やさないためにも、一刻も早く行動を起こすことを期待したい。(華)

【号外】※ダウンロード可

アサド守護霊 霊言の号外(日本語版)

http://the-liberty.com/files/asd-j.pdf

アサド守護霊 霊言の号外(英語版)

http://the-liberty.com/files/asd-e.pdf

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9月12日付英語版記事 The U.S. Should Take Military Intervention in Syria

Spiritual Messages from the Guardian Spirit of President Assad recorded on September 11th, 2013

http://eng.the-liberty.com/2013/4683/

2013年9月12日付本欄 キッシンジャー元米国務長官がシリアへの軍事介入を支持 オバマ大統領は軍事介入を急げ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6625

2013年9月11日付本欄 アメリカのシリア介入延期へ プーチンに足元を見られたオバマ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6623