防衛省が先ごろ、自衛隊の海兵隊的機能を充実させ、離島防衛を強化する方針を打ち出した。米国の海兵隊は陸海空軍と並ぶ4軍の一つだが、現在の自衛隊に海兵隊はない。

だが、小説の中では、すでに日本に海兵隊は存在している。2007年に発行されたライトノベル『魔法の海兵隊員ぴくせる☆まりたん』(L.B.ジョンソン著、ホビージャパン)は、そういう物語だ。

魔法の国の王女、まりんは12歳の誕生日に、女王様から「地上に行って海兵隊員として民主主義を守る修行をしなくてはなりません」と告げられる。平和な日本の海平高校を訪れた彼女は、九条護(くじょうまもる)たちヨット部員に目をつけ、海兵隊の設立を宣言、少女鬼軍曹まりたんとなって彼らを無理やり海兵隊員として鍛え上げようとする。

まことにヘンテコな、戯言のような物語ではある。だが、巻き起こる事件はけっこうリアルだ。海底資源の採掘を巡って対立する隣国が、日本に工作員を送り込み、ある方法により米第七艦隊の足止めに成功する。そうしておいて、日本にだけ武力攻撃を仕掛けてくる。日米を分断して襲ってくる隣国の野望を、まりたん率いる日本の海兵隊員は撃退することができるのか、という筋書きだ。2010年の尖閣沖中国漁船衝突事件以降の中国を思うと、ここに描かれた隣国の姿は、空想とばかりは言えなくなっている。

物語の中で、「敵を倒すのは銃ではありません。あなたの意志が敵を倒すのです」という女王の言葉が、まりたんの脳裏によみがえる場面があるが、自国の領土や国民を守る「意志」を持つことが重要だ。島が取られても何も言えないとか、国民が拉致されても取り返せないという日本の現状は、国家として死滅に近づいていると言えよう。離島防衛強化のための海兵隊機能の充実を歓迎したい。(賀)

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