7月19日付人民日報によれば、人民解放軍南京軍区のゲーム開発部署と民間企業が、兵士の募集活動を利用目的として「光栄なる使命」と称するオンライン軍事ゲームを共同開発したと言う。
領有権を主張する尖閣諸島を中国側の立場で防衛する内容も入っていると言われているが、実は現在の中国で販売発売禁止になっている戦争シミュレーションゲームがあることはあまり知られていない。
それは、「Hearts of Iron」というスウェーデンのパラドックスインタラクティブが発売している第二次世界大戦をテーマとする歴史シミュレーションゲームで、枢軸国と連合国と共産国が三つ巴となって、持てる工業力と資源を駆使して戦う戦略シナリオになっている。
ではなぜこのゲームが販売禁止となっているかと言えば、ゲームの中の中国はもちろん戦後の中華人民共和国ではなく、当時の中華民国である以上、戦力の主体は国民党軍になる。そして、何よりも現在自治区であるチベット、新疆ウィグル、内モンゴルはそれぞれ当時中国の支配下にはない。その史実に基づく地図上で戦うわけであるため中国では販売禁止というわけだ。
現代の中国共産党政権は現代の中国公民に史実を隠し通したいらしい。たかがゲームとは言え、領有権を捏造する戦争ゲームでも創らない限り、それだけ現在の中国共産党一党独裁政権の基盤が危うくなる情報でもあることを物語っているとも言える。
ならば一つ提案だが、日本などで「中国を民主化するゲーム」でもつくってみたらいかがだろうか。ありありと近未来の民主化した具体的な中国の姿を描き切ってしまうゲームがあれば、確実に仮想世界が現実世界に近づくことは間違いない。
たとえば、北京市の天安門広場前で中国共産党のみならず中国国民党も復活し、複数政党の立候補者が聴衆の前で街頭演説している姿を想像してみてほしい。多くの中国国民が「確かにそういう未来は訪れる」と確信すれば、すなわちそれが現実になる可能性が出てくる。(富)
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