イスラエル・ガリラヤ湖の湖底に、直径70メートル・高さ10メートルの巨大な円錐形をした建造物が発見された。重さ6万トンの玄武岩でできており、およそ2000年から1万2000年前につくられたと推定されている。

潜水調査をしたテルアビブ大学の地球物理学者は、これは一種の養魚場として作られたと主張している。一方で、先史時代の遺跡に詳しいハイファ大学の考古学研究者は、もともとは地上で建造された共同墳墓などが水に沈んだものだという説をとる。

また、この湖底建造物が4000年ほど前につくられたと主張するイスラエルの考古学者は、当時、この地域で最大の古代都市ベス・イエラが湖の南にあったため、この都市について新たな発見があるのではないかと期待している。

諸説ふんぷんだが、今回、湖底建造物が発見されたガリラヤ湖は、今から2000年前のイエス・キリストの活動の中心地としても知られている。イエスの伝道活動のほとんどはこの湖の周辺で行われていた。

印象的なエピソードとしてまず挙げられるのは、イエスがこの湖で漁の最中だったペトロを伝道したことだ。ペトロは後に初代教皇となった(『マタイによる福音書』、『マルコによる福音書』)。

次に注目されるのは、「何でも人にしてもらいたいと思うことは、その人にしなさい」「汝の敵を愛せよ」などの教えで有名な山上の垂訓が、このガリラヤ湖を眺める丘での説教だったことだ(『マタイによる福音書』)。

そして極めつけは、イエスが十字架にかかった後、2度目に復活したのがこの湖のそばだったことだろう(『マタイによる福音書』、『マルコによる福音書』)。

つまり、キリスト教徒にとってガリラヤ湖は、エルサレムに次ぐ聖地だということだ。今も世界中から聖書を手にした人々が訪れている。

イエスが活動していた当時、人々がこの湖底建造物の存在を知っていたかどうかは分からないが、やはり普通の湖ではなかったのだろう。イエスが伝道活動の中心地にこの湖を選んだことと関係があるのかどうか、今後の調査の結果に注目したい。(居)

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2008年1月号記事 マグダラのマリアのミステリー

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