28日に投開票を迎える参院山口補選に関する世論調査で、山口県上関町に建設予定の上関原発について、「中止」または「凍結」という回答が77%を占めている(23日付読売新聞山口版)。同じ調査では、重視する争点として「景気や雇用対策」を挙げる有権者が8割に及んだが、原発を失くしたら、景気は悪化し、雇用も減るという事実に気づいていないようだ。

ここで候補者4人の上関原発に関する主張を、各紙の報道から見てみよう。

自民公認の江島潔氏は、「国の骨格をなすエネルギー政策は冷静で客観的な判断に任せるべきだ」などとあいまいな表現を繰り返す。14日に上関町で行った演説でも、原発に関する言及を避けた。21日に応援に駆けつけた安倍晋三首相も、アベノミクスの効果をPRしたものの、原発政策には触れなかった。

自民党は、民主党政権が掲げた「原発新設の凍結」を見直す方針だが、昨年の山口知事選で自民が推薦した候補が「上関原発計画の凍結」を掲げて当選したという経緯があり、今回の補選において原発を争点にすることは得策ではないと考えたようだ。

一方、無所属で民主党・みどりの風が推薦する平岡秀夫氏は、安倍政権を「なし崩し的に原発の再開復活をやろうとしている」と批判。応援のために山口入りした民主党最高顧問の菅直人氏は21日、約300人規模で行われた脱原発集会に参加した。また、共産党公認の藤井直子氏は、「安全な原発はあり得ない」として、脱原発を訴える。

候補者の中で、唯一、原発推進を明言しているのは、幸福実現党公認の河井美和子氏だ。

河井氏は、原発停止によって火力発電所の稼働が増え、年間3兆円もコストが増えていることを問題視。上関原発を新設することで、安価な電力を安定的に供給できるようになる上、建設や施設の維持によって地元の雇用も生み出せると訴える。

実際、福島第一原発の事故で、放射線による死者は一人も出ていないし、そもそも福島の放射線量は健康被害が出るレベルではない。

こうした事実を国民に伝えず、原発を止め続ければ、燃料コストの増加で電気代の値上がりも続き、企業が悲鳴を上げ、上向いてきた景気を押し下げかねない。本当に景気を回復させ、国民の生活を豊かにするのであれば、原発の新設や再稼働を推進すべきなのである。(晴)

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2013年4月12日付本欄 参院山口補選 国論を変えてきた幸福実現党・河井氏に注目

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2013年5月号記事 福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう - 反原発にだまされるな

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