英仏両国は、シリア政府軍が昨年12月以降に化学兵器を1回以上使用したとする「信頼できる証拠」が見つかったと、国連に報告した。目撃情報や、土壌のサンプルの解析に基づくものだという。

オバマ米大統領は、化学兵器の使用を「越えてはならない一線」と位置づけている。政府軍による化学兵器使用が事実であるとすれば、アメリカは何らかの対応を迫られることになるかもしれない。

内戦が2年以上も続いているシリアでは、政府軍による反体制派の弾圧で、7万人以上ともされる死者と140万人に迫る難民が出ている。しかし戦闘の長期化など介入のコストを恐れるアメリカは、軍事介入を控え、CIAによる反体制派への支援などにとどめている。

一方で、アメリカが手をこまねいている間に、反体制派にはアルカイダ系のグループも入り込み、シリアが過激派に乗っ取られかねないという懸念も出ている。19日付の英フィナンシャル・タイムズ紙社説は、「アメリカや欧州が、シリアで自由のために戦う人々を応援する姿勢を明らかにしない限り、シリアは破たんし、アフガニスタンのようになりかねない」と論じている。

イラクやアフガニスタンからの米軍撤退を、“外交成果"と喧伝するオバマ大統領は、海外への紛争に介入したがらない。しかし、虐殺を止めるために「世界の警察官」の勇気ある行動が必要な時もある。1994年のルワンダ虐殺では、アメリカが介入を躊躇したこともあり、民族抗争で約80万人が犠牲になった。

シリア内戦は周辺国にも戦火が拡がりつつあり、中東全体が不安定化する危険もはらんでいる。アメリカの勇気ある決断が待たれる。

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