米東部の都市ボストンで15日午後(日本時間16日午前)に起きた、マラソン大会をねらった爆発事件について、オバマ米大統領は記者会見で、事件を「憎むべき、卑怯なテロ行為」と非難。米連邦捜査局(FBI)がテロ事件として捜査していることを明らかにした。

今回のテロの前後には、特定の個人やグループによる犯行声明がなく、犯人が分かっていない。そのため、いくつかの犯人像が取り沙汰されている。

まず、イスラム過激派などの国際テロ組織説がある。筆頭に挙げられているのは、2001年9月の米同時多発テロを起こした「アルカイダ」。イエメンを拠点にする「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」の機関紙が、アルカイダが「米国および同盟国への対抗措置」として、「スポーツ会場や社会行事、国際展示会」などに集まった群衆を標的とするテロを推奨していたという(17日付読売新聞)。

今回のテロは、大勢の人々が集まる市街地であり、さらにマラソンというスポーツ競技の最中に行われたが、これはアルカイダが推奨していた手法と合致する。

しかしこうした見方について、17日付ワシントン・ポスト紙は、「9.11」などに比べ被害が極めて小規模であることや、通常、事件後すぐに出る犯行声明がないことなどを理由に、アルカイダやその関連組織の関与に否定的な見解を示している。

次に、国内過激主義者によるテロとの見方がある。極右の反政府主義者が、政府による税政策、銃規制、移民受け入れなどに反発し、自分たちの主張を強引に通そうとするという見方だ。極右による過去のテロの例として、1995年4月に死者168人を出した「オクラホマシティー連邦ビル爆破事件」がある。

だが、事件発生日の4月第3月曜日は、米独立戦争の勝利を祝う「パトリオット・デー(愛国者の日)」にあたる。「愛国者の日」にスポーツ行事を狙って、無差別に人々を殺してまで自分たちの主張を通そうとするだろうか。

また、複数の爆発物が押収されており、愉快犯的な個人の犯行とは考えにくい。 はっきりしていることは、アメリカという国を憎んでいる者・組織の犯行ということだ。世界を見渡せば、そうした勢力は数多く存在する。

最近では、北朝鮮がしきりにアメリカを挑発し、自らが核保有国であることを認めさせ、体制の維持をはかろうとしている。今回のテロ事件との関係が疑われてもおかしくはない。

いずれにせよ、アメリカ政府は経済問題など自国の問題だけにとらわれず、「地球的正義」を追求し、それを守るための断固たる行動をとる必要がある。(原)

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