ジョン・ケリー米国務長官は、12日からのアジア外遊で、韓国、中国、日本を回り、ミサイル発射の動きを見せている北朝鮮に対する対応を各国と協議。北朝鮮が非核化に向けたプロセスに踏み出すことを条件に、米朝対話に乗り出す用意があると表明するなど、北朝鮮に対して終始対話を呼びかけた。また長官は、中国の習近平国家主席などと北京で会談した際に、米中は北朝鮮の核保有を認めず、同国に自制を求めていくことなどで一致したと明らかにした。

アメリカはこれまで、2月の核実験以降、挑発を繰り返す北朝鮮に対して、核搭載可能なステルス戦闘機を軍事演習に投入するなど、強い姿勢を示してきた。しかし朝鮮半島での緊張が戦争手前まで高まっていることを受けて、緊張緩和に舵を切った格好だ。

「話し合い路線」のハト派で知られるケリー長官は、イランの核問題でも対話にこだわってきたが、制裁などの対抗措置を遅らせるだけになったと保守派から批判されている。「緊張緩和」の名を借りた、北朝鮮に対する今回の対話呼びかけは、同氏のハト派としての"本性"が現れたものと言える。

そもそも北朝鮮は、アメリカに対する核抑止力で自衛するという目的で、これまで核開発を行ってきた。「北朝鮮は核カードでアメリカなどから援助を得ようとしている」とも言われるが、北朝鮮が対話のために簡単に非核化に踏み出すと考えるのは甘すぎる。

加えて、北朝鮮がこれまで、6カ国協議などの対話プロセスに参加しながら時間稼ぎを行い、その裏で核開発を続けてきたことはよく知られている。これまでの対話の呼びかけは、逆に北朝鮮の体制を温存し、核開発のための時間的な猶予を与えるだけに終わったのだ。

またケリー長官は、北朝鮮に対する圧力強化を中国に呼びかけた。確かに北朝鮮に対するこの頃の中国の姿勢には多少の変化が見られるが、これまで物資援助などで北朝鮮を保護してきたのは、紛れもない中国であることを忘れてはならない。

大川隆法・幸福の科学総裁は2月12日、アメリカの予言者であったエドガー・ケイシーの霊を招いて、朝鮮半島有事のリーディングを行った。その中でケイシー霊は、「(中国は)自分のところの態度をはっきりさせずに、『幕引きできるのは、中国だ』というような、恩を売るかたちの交渉をしてきます」と述べている。アメリカは、中国の手の内にはまらないように、一定の警戒が必要と言える。

重要なのは、米韓などが強い姿勢で北朝鮮に臨み、ミサイル発射などの挑発をやめさせることだ。米テキサス大学のジェレマイ・スリ教授は、12日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)への寄稿で「北朝鮮がミサイルを発射する前に、(アメリカが)これを破壊してしまうのが最善の策だ。危機が長引けば、地域の安全保障や国際的な核不拡散の取り組みにも悪影響が及ぶ。戦争を将来に先延ばしすれば、もっと悪い事態になる」と主張。アメリカが先制攻撃で、北朝鮮のミサイル基地を空爆すべきだと述べている。

朝鮮半島をめぐる最大の課題は、「戦争がない状態」という"見せかけの平和"を維持することではなく、北朝鮮の悪魔的国家体制をいかに解体して長期的な平和と安定を実現するかだ。ともに「話し合い主義」で知られるオバマ大統領とケリー長官は、ハト派の"本性"を捨て去って改心しなければならない。さもなくば、北朝鮮は間もなく米本土まで届く核ミサイルを持ち、本格的に世界の平和を脅かすことになる。

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