北朝鮮は中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本海側に移動し、発射台に搭載するなど、発射準備を進めていると見られる。4月15日は、北朝鮮の「建国の父」である故・金日成主席の誕生日にあたる記念日のため、北朝鮮がその前後に発射実験を行う危険性が指摘されている。ムスダンは米グアムを射程に収めるもので、アメリカはすでにミサイル防衛システムをグアムに配備することを決定している。

朝鮮半島の休戦協定白紙化など、昨今の北朝鮮の度重なる挑発行為に対して、アメリカは軍事演習へのステルス爆撃機投入などで牽制している。アメリカが挑発に動じないことで、追い詰められた北朝鮮が事態の打開を図って、韓国への砲撃などの新たな挑発に及ぶ可能性も否定できない。その際の韓国側の報復に、北がさらに応戦し、第二次朝鮮戦争の戦端が開かれるリスクもある。

事実上の核保有国となった危険国家・北朝鮮をこのまま放置しておけば、数年以内に米本土が核ミサイルの脅威にさらされる恐れがある。今ここで意を決して北朝鮮解体作戦に踏み切るか、あるいは北朝鮮を核保有国と認めざるを得なくなる状況になるまで手をこまねいているのか、アメリカは二者択一を迫られる。

そもそも北朝鮮の核・ミサイル開発がここまで進んでしまったのは、紛争のリスクをいたずらに恐れる米韓が、北朝鮮のおぞましい人権弾圧を無視してまで援助を与え、北の体制を温存してしまったことが原因だ。

北朝鮮の核開発が国際問題となった1994年、クリントン米政権は核施設の空爆も検討したが、北朝鮮によるソウル攻撃を恐れた韓国側の中止要請に妥協し、対話路線に転じた。98年に就任した韓国の金大中大統領は、南北関係の進展を理由にノーベル平和賞を受賞したが、その内実は、北朝鮮に多額の援助を与えて南北首脳会談を実現し、賞を“買った"に等しいものだった。また、ブッシュ米大統領は、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しするなど圧力をかけたが、2期目には北朝鮮を「テロ支援国家」リストから解除するなど、外交での得点稼ぎに走った。

米韓は、これまでの宥和路線が、北朝鮮の体制を延命させたことを深く反省し、今こそ北朝鮮の体制解体に舵を切るべきである。オバマ米大統領は「不介入主義」を取っており、2年以上続いているシリア内戦も傍観したまま、虐殺を止めようとしない。朝鮮半島にも同様の姿勢を取るなら、近いうちに東アジアに住む多くの人々が、危険国家・北朝鮮の核の脅威に脅かされることになる。

幸福の科学グループの大川隆法創始者兼総裁は、英語著書『Have Faith in Great America』の中で、「『アメリカの心』とは、神を信じ、正義を信じ、正義の名の下に世界をより良くしようと行動することです。それがアメリカの使命です」(本欄筆者訳)と述べている。

北朝鮮は人肉を食べざるを得ないほどの食糧難に見舞われている上、政府は22万もの人々を政治犯として収容所に入れている。こうした、人を人とも思わない悪辣な国家が、今や核兵器を持って世界平和を脅かそうとしている。北朝鮮のおぞましい国家体制は、国際正義という観点から見て、看過できる範囲をとっくに超えている。アメリカは世界の警察官として、戦後の国際秩序を維持してきた役割を思い起こし、北朝鮮解体に向けてイニシアチブを取るべきだ。

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