中国人民解放軍総参謀部が全軍に「戦争の準備をせよ」と指示していたことを、14日付の軍機関紙などが伝えた。尖閣諸島周辺での日本との軍事衝突を想定したものと見られるが、中国側の緊迫度が急速に増している状況がうかがえる。15日付産経新聞、時事通信などが報じた。
軍機関紙は、2013年の軍事訓練に関する指示として「戦争準備をしっかり備え、実践の必要性から出発し、部隊を厳しく訓練せよ」などと記し、その指示は習近平・中央軍事委員会主席(共産党総書記)の重要指示に基づいて作成した、としている。
また、中国共産党機関紙の環球時報は11日付社説で以下のように論じている。
「中国社会全体が、(尖閣に関して)日本に対する口頭のみの抗議に飽き飽きしている。中国人は国家が実際の行動で権利を守り、日本の気勢をそぐことを強く願っている」
「中国は極端な挑発行為を受けた場合、いかなる相手との軍事的な対抗をも辞すべきではない」
中国新聞社(中国メディア)も、日本の陸上自衛隊第一空挺団が13日に降下演習を実施したことを報じ、「日本は外交、軍事いずれの面でも『衝突レベル』まで硬化させている」「日本がより多くの軍事力に依存することは危険な傾向である」と専門家のコメントを載せている。
これらの報道から、中国政府は、安倍自民党政権になって以降の「右傾化」に強く反発し「危険視」していることが分かる。だが、中国側にも「焦り」が感じられる。自衛隊の訓練に神経を尖らせたり、中国軍機の領空侵犯に対して警告射撃を検討していることに対して、「今や尖閣をめぐる緊張は人々を窒息させそうな域にまで高まっている」(東方網)などと報じているのがその証左だ。
このような中国側の挑発や強硬姿勢によって、安倍政権を怯ませ、日本のメディアに融和策を主張させることが、習近平氏の狙いだろう。
安倍政権はこれらの中国側の強硬姿勢に対して、断じて怯んではならない。中国も各メディアが当局への反旗を翻すなど、内部にダイナマイトを抱え、その国内の不満を外に向けようとしている。日本は各国と連携して中国包囲網を築きつつ、集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更や、領空侵犯に対しては撃墜も辞さないという姿勢を示すことが大事だ。きわどい言論戦が続くが、「日本占領」を現実化させてはならない。(仁)
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