2008年8月号記事

特集 北海道サミットは世界を救えるか!?

第2部

出でよ!21世紀の「エジソン」  ──次世代エネルギー 開発最前線

現代の科学技術はまだまだ未熟

19世紀後半から20世紀前半は、発電機や送電システムなど基本的な電気技術や、電球、オーディオ(蓄音機)、電話など家電機器の黎明期。発明王エジソンは、そのほとんどすべての発明・改良に関わり、世界の夜を明るく照らし、人類の生活を便利で豊かなものに変えた。

時期を同じくして石油の機械掘りが可能となった。内燃機関(ガソリンエンジン)の発明・開発が続き、石油と電気の時代が訪れたが、この文明の基盤は21世紀に入った今も大きな変化はない。

しかし、その石油と電気の使用が、地球温暖化問題を引き起こしてしまった。

こうした経緯から、温暖化問題が語られる際には、科学技術の発展を「罪悪視」するような論調もある。そういう見方をエジソンなら何と言うだろうか。

「我々はこの世界に存在するものの真のパワーをまったくと言っていいほど理解していない。我々が知っているつもりのことでも、本当は1%の1000分の1も分かっていないのである」

これはエジソンの生前の言葉だ。エジソンは1300もの発明をしたとされるが、アイデアや構想段階の技術や機器はその何百倍もあり、大学ノートサイズで500万ページ分が残されている。その中には、今ようやく実用化が始まった自動翻訳機や、「どこでもドア」のように物質を移動させるテレポーテーション技術なども含まれている。

エジソンの言うように、人類はこの世界の力の1%の1000分の1も解明していないし、利用できてもいないのかもしれない。

とするならば、温暖化問題についても「現代の科学技術は非常に未熟で、まだまだ発展する余地がある」と考えなければならないだろう。この視点から、技術革新によるブレークスルーに必要なマインドと、次世代エネルギーとなる可能性のある技術について考えてみたい。