長引く不況の中で百貨店も苦しい経営が続いているが、意外なことに「高級時計が売れている」という記事が出た。衣料品市場をユニクロに、化粧品市場をドラッグストアにそれぞれ奪われつつある百貨店だが、高級時計は量産品との競争から抜け出すことに成功し、数10万~100万円の商品を中心に売上を伸ばしているという。18日付日経新聞電子版が報じた。

腕時計は機能としてはほとんど完成しており、セイコーが1980年代にはクォーツ時計で席巻したが、量産品の追い上げを受け、シェアを失った。その後、欧米のメーカーなどのデザインに特化した高級品が、量産品と市場を住み分けた。ユニクロのような安売りに強みを持つ異業態との価格勝負から「フリー」であることが大事であるという。

確かに安売りでは百貨店は勝てないのだから、高級志向の客をつかむ以外に生き残る道はないだろう。

大川隆法・幸福の科学総裁は『未来創造のマネジメント』で、不況期の戦い方について、ユニクロ的な安売りによるシェア占有を紹介したのち、次のように語っている。

「もう一つの方法は、高付加価値商品をつくり出すことです」「高付加価値のものをつくった場合、実は、『"この世になくてもよいもの"ほど高く売れる』ということも一つの法則なのです。なくてもよいものを持つ人は、(中略)『ほかの人が持っていないものを持つ』ということを喜んでいる人です」

スマホや携帯で時間が分かる現代において、高級時計は確かに「なくてもよいもの」であり、数量限定モデルなどは「ほかの人が持っていないもの」だ。だが、そのような、必要性にとらわれないものこそ、実は高級志向の客が求めるものでもある。

日本にはお金持ちが一杯いる。この不況の原因は、彼らの消費意欲を喚起する商品が足りないだけだろう。そういう目で見れば、創意工夫によってまだいくらでも「高付加価値」かつ「売れるもの」を作りだすことができるはずだ。(居)

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