アメリカで銃規制の議論が盛り上がってきた。きっかけは、コネチカット州の小学校で14日、児童20人を含む26人が犠牲となる銃乱射事件が起きたことだ。アメリカでは銃乱射事件がたびたび発生しており、昨年1月には政治集会で男が銃を乱射し、6人が死亡したほか、民主党のギフォーズ下院議員が負傷した。

銃を保有する権利を憲法で定めているアメリカは、銃規制に対して根強い反対がある。合衆国憲法修正第2条は、「規律のよく取れた民兵は、自由な国家の安全を維持するために必要であり、銃を保有し携帯する国民の権利を侵害することはできない」と定めている。

ワシントンDCでは短銃の保持を規制する法律がつくられたが、憲法修正第2条に反するため違憲であるという判決が2008年に下された。

しかしショッキングな今回の事件を受けて、銃規制の議論が動き出す可能性もある。オバマ大統領は「政争は脇に置いて我々は協力し、再発防止のための意味ある行動を取らなければならない」とコメントしている。銃規制についてはこれまで全米ライフル協会(NRA)といった圧力団体が強力に反対してきたが、NRAから支持を受けて当選した議員の一部は、今回の事件を受けて立場を修正した。

銃規制の強化への賛成が50%を超えたという世論調査の結果もある。オバマ大統領は2008年の大統領選で銃器規制の強化を訴えるなどしているが、世論の支持を受けてこの改革に取り組む可能性がある。

日本では銃器で殺害された人の数は年に10人ほどだが、アメリカでは1万2千人にのぼる(いずれも2008年)。オバマ政権は、医療保険改革や税制などでより「平等」な社会を目指す「日本化(Japanization)」政策を進めてきたが、銃規制の分野でもアメリカ社会を日本に近づける路線を取るのかもしれない。

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2012年12月17日付本欄 米の銃乱射事件 「神はどこに?」という疑問の答えは

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5325

2009年6月号記事 オバマ大統領が目指す アメリカの「日本化」計画!?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=627