衆議院選で「脱原発」を掲げた民主党は、議席を選挙前の230から57へと大幅に減らした。他にも、「脱原発」を唱えた共産党が9から8、社民党が5から2に議席を減らしている。民意は、「原発推進」だったということが分かるが、今回指摘したいのは、これら「脱原発」を唱えた政党が、同時に「脱CO2」を掲げていた事実である。

民主党は2009年に、当時の鳩山由紀夫首相が「25%削減」を宣言したことは有名だが、今回の衆院選の政権公約でも、「2030年時点において国内でおおむね温室効果ガス2割削減(1990年比)をめざし、主導的な環境外交を展開する」と明記している。

また、共産党は、「国際公約である2020年の25%削減を堅持し、さらに30%削減と追求します」、社民党は「温室効果ガスを2020年までに90年比30%、2050年までに80%削減を実行するための『地球温暖化対策基本法』を早期につくります」と、それぞれ記している。

ただ、そもそもCO2は温暖化とは関係がない。

本誌2009年9月号で紹介した『地球温暖化は止まらない』(S・フレッド・シンガー著)によれば、地球温暖化は人類がCO2を大量排出する前から1500年サイクルで繰り返し起きていた「自然現象」である。もし、温暖化がCO2濃度の上昇によるものならば、温暖化は1940年ごろから始まらなければならないが、実際には1850年ごろから始まっているという。

それはそれとして、「脱原発」と同時に「脱CO2」を主張する政党は、あまりにも無責任ではないか。

原発を止めれば、化石燃料を燃やす火力発電に頼らざるを得ず、「脱CO2」は不可能になる。彼らは、その分の電力を太陽光や風力などの自然再生エネルギーで賄うつもりだというが、それらの電力供給が、天候に左右されるなど不安定で、原発ほどの安くて安定的な電力供給ができない事実を知っているはずだ。

こうなると、それらの政党の主張は「反対のための反対」であったとしか言えない。いずれも思想的に社会主義、全体主義に近い政党であることを考えれば、潜在的に、日本経済を縮小させ、先進国の座から引きずり下ろしたいという思いがあると見ていいだろう。

多くのマスコミも、世論を「脱原発」に誘導する報道を行ってきたが、彼らのような無責任・無定見な言論に、この国の未来を委ねてはいけないということが、今回の選挙ではっきりと分かったはずだ。(居)

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2009年9月号記事 CO2温暖化説は 正しいか?

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2013年1月号記事 福島県など東北地方の住民が政府に原発再稼働を要請 - Newsダイジェスト

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5179