中国共産党が内部高官会議で、胡錦濤・総書記が、軍のトップである「中央軍事委主席」の座を習近平・国家副主席に譲ることを決め、同時に、江沢民・前総書記ら引退した党高官の政治介入を禁じる内部規定を定めたことを、14日付朝日新聞が報じた。

記事によると、11日に開かれた内部高官会議で、胡氏は、「(1)いかなる党高官も引退後は政治に関与しない (2)今後、軍事委主席も含めて引退期限を巡る人事での例外を認めない」という2点を内部規定とすることを条件に、党大会終了後、総書記と共に中央軍事委主席のポストを習近平氏に譲ることを主張したという。

中国の権力者は、党のトップである「総書記」、国のトップである「国家主席」、軍のトップである「中央軍事委主席」の3ポストを独占。胡錦濤氏は15日に開かれる1中全会で「総書記」を、来年3月の全人代で「国家主席」を、それぞれ習近平氏に譲ることが既定路線だが、任期のない「中央軍事委主席」のポストを、いつ譲るかという点に注目が集まっていた。

胡錦濤氏は党大会前の軍部の人事で、自分の息のかかった人物を要職につけた。これにより、引退後も院政を敷くことが予想されているが、長老政治を自ら禁じた手前、習近平体制発足後、胡錦濤氏自身が表立って影響力を行使することは難しくなる。

つまり、今回の権力闘争の結果、江沢民・前総書記と胡錦濤・現総書記が一緒に"引退"することで、漁夫の利を得るのは、新総書記の習近平氏という構図が浮かび上がってくる。

習近平氏は9月に約2週間、突然行方をくらませたことがあるが、不在中に、党大会の最高指導部人事を検討したり、日本政府による尖閣諸島国有化への対抗策や対日軍事闘争の準備をしていたという情報も流れた。その前後から、中国国内での反日暴動が激化している。

15日には、中国の最高意思決定機関である政治局常務委員が選出され、習近平体制が発足する。対日強硬派と目される習近平氏が、中国の政治をある程度の自由性を持って動かす時代が来ていることを、日本人は理解する必要がある。(居)

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