収益構造から見る限り、金融業になりつつあるトヨタ。写真:ロイター/アフロ

2012年11月号記事

日本の雇用が危機にある。

日本を代表する小売業であるセブン&アイ・ホールディングスは、グループのイトーヨーカ堂のパートタイマーの比率を、2015年度をめどに9割に引き上げる。現在8600人いる正社員は半分に削減する。この結果、人件費は7%減らせるという。正社員を、グループ他社へ転籍し、また採用抑制によって実現する方針だ。

主要スーパーのパート比率は8割前後と言われており、ヨーカ堂の9割はかなり突出した水準となる。

長引くデフレ不況で、しかも2014年以降に消費増税を控えていることを考えると、コスト削減の流れはしばらく続く ことが予測される。ヨーカ堂の動きは、スーパー業界のみならず他業種のトレンドになる可能性がある。

厚生労働省の調査では、20~34歳のパートタイム労働者の4割超が「正社員になりたい」と答えている。日本の雇用全体がパート社会に向かうのではあれば、それは多くの人にとって望まない社会になることを意味する。

この流れを加速しているのが、消費税の増税であったり、日銀の不十分な資金供給であるとするならば、劇的な政策転換が必要となろう。