怒りを通り越して、呆れるしかない。タバコ火でつける火傷の「根性焼き」を腕に20数回されるいじめを受けた高2男子生徒に対し、学校側が自主退学を求めた。教頭らは、根性焼きについては「現時点ではいじめとは認められない」と話している。つまり合意の上での根性焼きだというのだ。ネット上では「この学校腐ってる」など"炎上"している。

男子生徒は昨年11月以降、同級生3、4人から肩や腕を殴られる暴行を受けていた。担任教師の前でも殴られたという。今年5月下旬にはその場にいた同級生2人に、左腕に自分でタバコ火を押し付けるようにさせられ、その後同級生1人が生徒を押さえつけ、いじめの中心だったもう1人が腕に計22カ所も火傷を負わせた。生徒は6月に学校側に相談したがいじめが止まないため、7月から不登校になった。

8月3日に両親や同級生らを交え、学校側と話し合いの場を設けたところ、同級生らは暴行については謝罪したが、根性焼きについては謝罪しなかった。学校側は、「やけどの痕を他の生徒に見せて動揺させた」ことを理由に被害生徒に自主退学を求め、6日までに退学届けを自主的に持ってこなければ退学処分にすると通告した。生徒側は6日に宮城県警へ被害届けを出し、県警は傷害などの疑いで捜査中だ。

7日、再び男子生徒らは学校側と話し合いの場を設けた。同席した全国いじめ被害者の会理事長が「男子生徒は無理やりやけどさせられたのに、退学しろというのはおかしい」と抗議し、退学処分の撤回を求め、学校側は校長がいないとして処分を保留にすると説明した。一方で、いじめたとされる同級生も7月31日付けで自主退学処分となっている。

ネット上の感想には、「なぜ、いじめを受けた側が退学?」「こんな非常識が通ったら、いじめはほとんど正当化できる」「私立は退学させて、なかったことにするんだな」など、学校側への批判が噴出している。しかし、ネット上では大騒ぎだが、なぜか新聞各紙の扱いは小さい。マスコミまで隠蔽に加担しているのか。すでにネット上では甲子園出場校の名前が特定されている。

男子生徒が警察に訴えなければそのまま当事者は二人とも学校を去り、事件はなかったことにされていただろう。いじめ問題が発覚し、学校の名に傷がつくのを恐れてのことだろうが、その隠蔽体質がいじめを常態化させ、やがてマスコミを巻き込んだ大事件に発展させる。この国の教育に「正義」はあるのか。大人たちが正義を取り戻さなければ子供たちを教育する資格などありえない。(居)

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