今秋の共産党大会を控え、中国で民主活動家の取締りが一層厳しくなっているという。3日付読売新聞などが報じている。
上海の民主活動家、馮正虎氏が今年2月末から自宅軟禁状態に置かれている。馮氏はパソコンや携帯電話を押収され、家に監視カメラと、3階の馮氏の部屋の窓下には飛び降り防止のための金属の柵を設置されている。アパート下には公安当局10人が常駐している。
馮氏は再開発のための家屋立ち退きに抗議する市民らを助け、法に従った処理を求めて活動していた。1989年、天安門事件の直前には学生支援の声明を出し、当局から処分を受けている。
また、上海出身の映画監督である応亮氏は、当局が逮捕する意向のため、滞在先の香港から帰郷できない状況にある。今年製作した映画が、不当捜査への報復として青年が08年に起こした、警察官ら11人の殺傷事件を題材としたことが理由だという。
一方、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版によると、7月1日には香港で民主化を求めデモに数万人が参加した。北京政府の民主主義の欠如への抗議や、盲目の人権活動家である陳光誠氏が米国へ逃れた事件など人道問題への抗議が主体だった。参加者の一人は「中国本土では人々の力を示すことができない。香港は声を上げることができる唯一の場所だ」と語っている。
また香港の調査では、最近7年間に「報道の自由が後退した」と感じているメディア関係者が87%に達している。特に「メディア側の自主規制」が進んだという人が79%に上り、中国返還以降、言論の自由が狭められている実態が分かる。
中国が自由を抑圧する国であることはすでに世界中の知るところだが、日本のマスコミもその実態を少しずつ報道しつつある。映画「ファイナル・ジャッジメント」で描く世界が「現実」だということに日本人も少しずつ気付きつつある。(居)
【参考記事】
2012年6月6日付本欄 弾圧が続く自由なき中国 天安門事件から23年
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4401
映画「ファイナル・ジャッジメント」特設サイト