29日、羽田雄一郎・国土交通相は、整備新幹線3区間の着工を認可したと発表した。区間は以下の通り。
北海道新幹線:新函館―札幌(2035年度末ごろ開業)
北陸新幹線:金沢―敦賀(2025年度末ごろ開業)
九州新幹線・長崎ルート:諫早―長崎(2021年度末ごろ開業)
これらの区間が開業すると、東京―札幌は5時間1分、仙台―札幌は3時間27分となり、いずれも現在の約半分の時間に短縮される。また、東京―福井の所要時間は2時間52分で36分短縮され、博多―長崎は1時間20分で28分の短縮である。沿線の自治体や経済界からは、観光振興や経済圏の拡大が期待されており、認可が待ち望まれていた。
本誌2010年5月号でも特集したが、交通革命によって人や物の移動時間が短縮されれば、計り知れない経済効果を生み出す。新幹線の整備は国民の富を増やす国策であり、推進すべきである。
今回の3区間の総事業費は約3兆円。30日付日経新聞の社説は、「整備新幹線で大盤振る舞いするときか」の見出しで、旧来型の公共事業に見られる採算性への疑問から、巨額の公共事業を行うことを批判している。
もちろん、新幹線を建設すれば自然に地方が活性化するわけではない。新産業の創出や魅力的な観光地づくりなどの自助努力によって、初めてその地域が発展するのだ。たとえば、2011年に九州新幹線・鹿児島ルートが開業したが、同年度の九州の観光消費額は前年比11%増の2兆4900億円に及んだ。開通に合わせて、官民一体となって観光振興に力を入れた結果である。
1964年に開通した東海道新幹線も、世界銀行の融資を受けて建設した。当時、建設反対や経済効果に対する疑問の声もあったが、予想以上の利用実績が上がり、日本の高度経済成長を支える大動脈になっている。
2027年には中央リニア新幹線の東京―名古屋間、2045年には名古屋―大阪間が開通予定である。国民の富を生み出す公共事業に活発に投資することで、次の時代の日本の繁栄は作っていけるのだ。(晴)
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2010年5月号記事 【日本を創ろう】(2) 交通革命で人生の持ち時間が3倍になる!
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=921
2012年5月27日付本欄 幸福実現党に続き自民も200兆円大型投資構想