北京で日中韓首脳会談が行われたが、中国の胡錦濤・国家主席は野田佳彦首相との個別会談を拒否。亡命ウイグル人が一堂に会する「世界ウイグル会議」(ラビア・カーディル代表)が、東京で開催されたことに対する意趣返しであると、15日付各紙が報じている。
中国外交部の洪磊報道官は14日、同会議の東京開催について触れ、「新疆ウイグル自治区の問題は内政であり、外部勢力が手を出すことを許さない」と激しく反発した。中国に侵略されたウイグルでは、日常的に厳しい人権弾圧・宗教弾圧が行われている。仮に、内政問題だとしても、こうした状況を放置することが、国際正義にかなうわけがない。
また、同会議のために来日したラビア代表らは14日、靖国神社を参拝した。15日付のサーチナ・ニュースによると、これについても洪磊報道官は、「靖国神社は日本軍国主義の象徴」「反中国分裂分子である世界ウイグル会議は日本の右翼と結託し、祖国分裂と中日関係の破壊を狙う政治的本質を露呈した」と非難したという。
中国は日本の政治家の靖国参拝さえ非難するが、ウイグルを「内政問題」と言いつつ、靖国参拝について堂々と批判してくるのは、どういう神経なのか。とにかく中国は、自分が気に入らないことや、都合の悪いことについてはなりふりかまわず、相手を批判する国なのだ。
しかし、自国の利益を押し通すために、言いがかりをつけるのはある意味で、外交であり、国際常識とも言える。
そうであるならば、日本も中国に対して、「そんなに圧力をかけるのならば、日本でも核保有の議論を始めなければいけない」などと揺さぶりをかければいい。生き馬の目を抜く国際政治の舞台では、そうしたディベート能力も必要であり、それが自国民を守る抑止力にもなる。(居)
【参考記事】
2012年5月14日付本欄 世界ウイグル会議 「日中間でウイグル問題を議論せよ」 東京で開幕