北朝鮮の3回目の核実験が近づいているとの見方が広がっている。

北朝鮮は2006年に最初の核実験を行っている。この年は7月5日に長距離ミサイルを発射。それを受けて国連安全保障理事会(国連安保理)が糾弾決議を採択するが、北朝鮮は核実験を予告し、10月に強行している。

二度目の核実験は2009年で、4月5日にミサイルを発射したあと、国連安保理が議長声明を出して非難するが、やはり5月25日に核実験を強行した。

これまで、3年おきに「ミサイル発射」「国連による糾弾」「核実験」というパターンを繰り返していることが分かる。今回もそのパターンで事態が推移している。

今回は4月13日にミサイルを発射し、5月3日に国連の常任理事国が、北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念を表明した。

それを受けて北朝鮮は6日、国連の共同声明を非難し、核開発の正当性を主張している。

各メディアの報道では、北朝鮮はすでに核実験の準備を終えていると伝えている。

注目は中国政府の動きで、今のところ、北朝鮮に対して実験阻止に向けた働きかけをしていると言われる。また、中国はこれまで、核実験のたびに、北朝鮮に対する原油支援を制限してきたという報道もある。

今回、もし北朝鮮が核実験を強行した場合、中国がどういう対応を取るかで、朝鮮半島情勢は大きく変わる。

単純にこれまでと同じパターンを繰り返すか、あるいはまったく別のシナリオが展開するか。

様々な予測がある中で注目したいのは、国際エコノミストの長谷川慶太郎氏の予測だ。

同氏によれば、北朝鮮が核実験を行い、それを受けて中国政府が北に対して経済制裁を加えた場合、中国の人民解放軍のうち、北朝鮮と国境を接している瀋陽軍区が反乱を起こす可能性があるという。

北朝鮮を実質的に支援してきた瀋陽軍区が中国政府の決定に不満を持つからだ。

その場合、中国政府は瀋陽軍区の反乱を抑えることができず、それをきっかけに他の軍区の人民解放軍も立ち上がる可能性がある。

つまり、北朝鮮の核実験をきっかけに中国の分裂・崩壊が始まるというシナリオがあり得るわけだ(詳細はリバティ6月号参照)。

いずれにしても、かなりの確率で今週中に行われると見られる北朝鮮の核実験が、アジア情勢を一変させるかもしれない。(村)

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2012年6月号記事 2020年中国は民主化する(近未来シミュレーション) - シリーズ 日本と中国の未来 第2回

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