(『この国を守り抜け』第3章「宗教と政治について考える」より抜粋・編集。2010年9月23日収録)

オバマ大統領は「言葉だけの政治家」

アメリカのオバマ政権は、二〇一二年で終わりになるかもしれません。二〇一二年は、ちょうどマヤ暦が終わる年であり、「2012」という、人類滅亡の危機を描いた映画もありましたが、オバマ氏は、過去世で、そのマヤの辺りに生まれたことがあるようです。この年に、本当に世界が終わりになるかどうかは分かりませんけれども、アメリカは、没落のショックをかなり起こしてから、その後始末が始まるだろうと思います。

この世においては、善意に満ちたことをしているのに、意外にも結果が悪くなることが数多くあります。残念なことではありますが、それは、外見上、物事の“良く見える面”だけを強調しすぎていて、その影の部分について緻密に詰めていこうとしていないからだと思うのです。

オバマ氏は善人ですし、演説もとてもうまい人です。私は、彼が大統領選に立候補している間に行った演説を、全部、読みましたが、ケネディやリンカンなど、いろいろな人の演説を研究した跡がはっきり見えました。

ただ、具体的な政策の部分になると、ほんの少ししか出てこなかったので、「この人は、言葉だけの人で、現実にどうするかは、まだ考えていないな。それは、大統領になってから考えるつもりだな」ということが分かっていました。今、まさに、「オバマ大統領は言葉だけの政治家だ」と言われています。

そのため、アメリカでは、オバマ氏とまったく正反対の考えを持つ共和党の候補者を、だいぶ揃え始めているようです。

いずれにしても、数年のうちに、日本の政治の流れを保守回帰の方向、まっとうなものの考え方をするほうに持っていかないと、危険度は高いのです。

単なるオバマ氏の趣味で、「核兵器のない平和な世界が、突如、実現する」などということはありえません。そんな言葉に、あっさりと“帰依”してしまうほど、単純であってはいけないのです。

私は、以前から、「オバマ大統領は、訪日しても広島へは行かないだろう」と述べていました。案の定、「中間選挙直後というアメリカの国内事情を勘案して、広島へは行かない」ということになりました。そんなことは、最初から分かっていることなのです。

そのように、外向けに言っていることと、現実の政治を計算したらどうなるかということは、別のことなのです。アメリカでは、大統領が広島へ行って献花し、「原爆を落としてごめんなさい」などと謝ったら、即、クビになるのです。

したがって、広島へ行くはずはないのですが、行くような素振りを見せたり、口だけで言ったりしていました。

政治というのは、そのように、理想的な面と、リアリスティックな面との、両方からアプローチして見なければいけないところがあるのです。私は、「オバマ大統領は広島に行くはずがない」と、最初から判断していましたが、そのとおりになりました。

優しすぎる態度は、相手に間違った判断をさせる

『世界の潮流はこうなる』のなかで、キッシンジャー博士の守護霊は、「終戦記念日に閣僚全員が靖国神社に参拝しなかったことは、中国への全面降伏に当たる」と言っていますが、面白い分析です。こういう部分には注目しなければいけません。そのように受け取られる面があるということを、知らなければいけないのです。

「優しすぎる態度を取ることが、相手に間違った判断をさせることもありうる」ということを知らなければいけません。やはり、「言うべきことは、きちんと言う」ということが、本当の意味で友人になるために大事なことなのです。

例えば、日本の歴史教育に対して、中国などから、「偏向している」と言われたりしていますが、向こうの教科書の偏向度のほうが、そうとう激しいのではないかと思われます。中国や朝鮮半島に関しては、日本も、もちろんかかわりを持つ国の一つであるので、今後、よくなっていっていただきたいと思っています。特に、朝鮮半島の不幸については、早く解消したいと思っていますが、まずは、思想の次元での戦いが先にあるだろうと考えます。

今の中国の動きに対して、「日本が何らなすすべもなく放置し、そして、アメリカが衰退してアジアから後退していく」という筋書きが続いていくようならば、次は、「アジア諸国やアフリカ諸国が、中国の覇権に脅される」という状況が、やがて現れてくるでしょう。そういう未来が、はっきりと見えるわけです。

したがって、「どのようなかたちで未来社会をデザインするか」ということが大事です。

人の心が変われば、国のあり方も変わる

「中国と仲良くしさえすれば、国が繁栄する」という、これまでの考えが、今、裏目に出てきているわけですが、そのことを、あらかじめ分かっていた人がいるのだということを知らなければいけないのです。

考え方を変えれば、世の中は変わります。人の心が変われば、国のあり方も変わります。今、私たちは、“病原菌”と戦う“抗体”をつくって逆輸出しているところであり、私の書籍は、中国にも、ほかの国にも入っています。そのように、今、“抗体”をいろいろな国に広げて、“病原菌”に侵食されないように守ろうとしているのです。

とにかく、私は、世界の人々が不幸になっていくのを見ていられないのです。中国は、これから、十数億人の国民を食べさせていくために、資源の争奪や食糧の争奪、水資源の争奪など、いろいろな面で、そうとうな問題を起こすと思われるので、あらかじめ手を打たなければいけません。

その際に、日本の技術が、必ず役に立つだろうと思います。日本は、海水を真水に変えたり、泥水をきれいな水に変えたりする技術を持っていますし、また、山村部で海水魚を養殖する技術まで開発しています。

この技術を世界で初めて開発したのは、幸福の科学の信者なのですが、これが広まって、ハマチやマグロなどの高級魚を山村部で養殖できるようになれば、大きな産業になります。「山村で海水魚が獲れる」ということが始まると、食糧問題の解決にかなり寄与できると思います。

それから、衛生問題等もたくさん出てくるでしょう。環境対策や、水の浄化、衛生的な食糧を提供する技術などにおいては、日本はまだまだ健在です。

数年前、「毒入りギョーザ事件」がありましたが、中国側は、「日本で混入された可能性が高い」などと、ずいぶん言っていました。しかし、いったい誰が、自分でギョーザに毒を入れて食べたりするでしょうか。やはり、管理のずさんな中国の工場で混入されたものと考えるのが当然でしょう。

それを、国家を挙げて、「そんなことが中国であるはずがない」などと言い張るようでは、甘いと言わざるをえません。まだ一人前の先進国にはなっていないと思います。

私は、世界が戦争で彩られることが好ましいなどとは思っていません。そのようになる前の段階で、話し合いによって国論を変え、世界の国々が協調する体制をつくり出す方向へ導いていきたいと思っています。

未来についての結論を提示し、そちらのほうへ導いていきたいのです。