(『宗教立国の精神』「幸福実現党の目指すもの」書き下ろし。第6章「千年王国の理想について」より抜粋・編集。2009年7月20日収録)

『幸福実現党の目指すもの』

この国の政治に一本、精神的主柱を立てたい。
これが私のかねてからの願いである。
精神的主柱がなければ、国家は漂流し、
無告の民は、不幸のどん底へと突き落とされる。
この国の国民の未来を照らす光となりたい。
暗黒の夜に、不安におののいている世界の人々への、
灯台の光となりたい。
国を豊かにし、邪悪なるものに負けない、
不滅の正義をうち立てたい。
人々を真なる幸福の実現へと導いていきたい。
この国に生まれ、この時代に生まれてよかったと、
人々が心の底から喜べるような世界を創りたい。
ユートピア創りの戦いは、まだ始まったばかりである。
しかし、この戦いに終わりはない。
果てしない未来へ、はるかなる無限遠点を目指して、
私たちの戦いは続いていくだろう。

「この国の政治に一本、精神的主柱を立てたい」

私の本心は、本書の冒頭に掲載した『幸福実現党の目指すもの』という小文に書いてあるとおりです。

幸福実現党の立党の趣旨は、「この国の政治に一本、精神的主柱を立てたい」ということです。そういう希望を持っています。さらに、「最終的には、ユートピア創りのための、一つの前線基地と言うべきものをつくらなければいけない」という気持ちで立党しました。

戦後、占領軍は、「日本を弱くするためには、どうしたらよいか」を考えた結果、「宗教を弱くすれば、日本は弱くなる」ということが分かりました。「戦前の日本が非常に強かった理由は、やはり、宗教が強かったことにある。そこで、宗教のところを骨抜きにしてしまえば、この国はクラゲのようになって弱くなるだろう」と考え、日本から“背骨”を抜いてしまったのです。

すなわち、この国を弱くするための方法の一つとして、「宗教を弱める」という政策がとられたわけです。その表れの一つが、「政教分離」という、政治と宗教を制度的に分離しようとする考え方であり、もう一つは、教育と宗教を分離しようとする考え方です。

要するに、「政治と教育から宗教を遠ざけさえすれば、この国を弱くすることができる」ということを占領軍は考えたのです。

これは、逆に言うと、「政治と教育に、宗教が一本、精神的な柱を立てたら、この国は強くなる」ということです。

戦後の六十数年間、日本は、繁栄を享受できたとは思いますが、クラゲのように漂っていた面があることは否めません。

「国際社会において、この国の発言力はとても低く、イニシアチブをとれるレベルにはない」ということは、非常に残念なことであると思います。

国際会議の場でも、日本の首相は、「ちょっと写真に写るだけ」という“付け足し”のような感じで出ている状態であり、何らリーダーシップを発揮できないでいます。この状況は、まことに悲しいことです。

経済大国になったところで満足していたら、その経済大国もまた不況の大波のなかで漂い始めています。いまだに敗戦意識を引きずっていて、方途なきまま、荒海のなかを、暗闇のなかを、ただただ光を求めて漂っているように見えます。

私は、「この国のなかに一本、やはり、精神的なる主柱を立てたい」という強い強い希望を持っているのです。

日本人は精神的自立を果たすときに来ている

日本人は、戦後、敗戦を契機として、気概を失うとともに、真実を見つめる目が弱まり、そして、自分の意見をはっきりと言わないことをもって美徳とし、「強い外国の言うがままに追随する」という姿勢を取り続けてきました。

しかし、現時点において、日本の国が置かれている立場は変わってきており、そういう状態のままであっては、国際的不信のなかを漂うしかありません。現実に、諸外国からは、「なぜ日本は意見を言わないのか」「なぜ主体的な判断ができないのか」「なぜ具体的な提案をしないのか」「なぜ他の国を助けようとしないのか」などという疑問が数多く出されているわけです。

人生には、勝負の機会が何度かあり、勝ったり負けたりすることがあるでしょう。それと同じように、戦争で敗れたのは悲しいことですが、それをいつまでも引きずってはいけません。再び立ち上がって、「気力の充実した、立派な国をつくり直そう」という気概を持たねばならないと私は思います。

日本を占領したマッカーサー以下の占領軍は、神ではありません。軍事力は強かったでしょうが、彼らは神ではないのです。

占領軍は、日本の制度をつくり変えましたが、それは、自分たちに都合のよいように変えただけのことです。それから、すでに半世紀以上、六十数年が過ぎました。それほど長く、同じ状態が続くとは、彼らも考えていなかったことでしょう。マッカーサーたちが予想さえしなかったことを、日本は続けてきたわけです。

今、日本人自身の手によって、自分たちの未来を設計し、この国のあるべき姿や進むべき方途を決めなければならない時代が来ています。精神的な独立を果たさなければならないときが来ているのです。私はそう考えます。

日本の国は、今、そうした立場にあると思うし、諸外国に対して、ものを言える立派な日本人が数多く出てこなければならないと思います。

言うべきことは言う。すなわち、正しいものは受け入れるけれども、間違っているものについては、たとえ、それが外国のことであっても、「間違っている」と言う。また、自分たちの国で行っていることで、間違っているものについては改めるけれども、「正しい」と思うことについては、「正しい」とはっきり言う。そうした勇気が必要です。

それをごまかして生きていくことは、人間として卑怯なことです。

したがって、選挙に勝つための人気取りに拘泥することなく、この国のあるべき姿や、「こういう未来をつくらなければならない」という未来ビジョンを、はっきりと指し示すことこそ、幸福実現党の使命であると私は思います。

『宗教立国の精神』
大川隆法著
幸福の科学出版刊
2,100円(税込)

幸福の科学出版へはこちら