財務省がホームページに朝日新聞の記事に対する抗議文を掲載している。それを2日付読売・東京新聞などが報じている。財務省と朝日新聞が"全面戦争″に突入しそうな勢いだ。
発端は4月5日付朝日新聞が1、2面を使って展開した「民主党政権 失敗の本質」と題する連載記事の1回目。
同記事は、「鳩山は総選挙直前、実は財務省の事務次官だった丹呉泰健や、主計局長だった勝栄二郎らとひそかに接触を重ねていた」など、名指しで財務省と民主党が政権交代する前から接触していたことや、財務省が民主党政権を支配し増税を実現させようと動いていたことを暴露した。
これに対し、財務省広報室は2回にわたって朝日新聞報道局長あてに抗議文を送付。「接触を重ねていたという事実はありません」「鳩山元総理大臣、菅前総理大臣にもご報告したところ、両氏とも当該記事は事実と異なるなどとして(略)抗議した旨確認しております」などと抗議した。
しかし「(朝日側から)納得のいく回答を得られていない」として、ホームページ上に2回の抗議文とあわせて掲載に踏み切った。財務省が抗議文を公開するのは初めてという。
本欄の読者はご記憶の通り、朝日の同記事に関しては4月6日付本欄で「朝日が一転して財務省・勝次官を批判」と題して伝えた。「一転」というのは、その4日前の囲み記事で「財務省陰謀説は疑ったほうがいい」と、まったく逆の財務省擁護論を載せていたからだ。
さらに遡ってみると、3月末に国税庁が朝日新聞に2億5100万円の申告漏れを指摘。その直後に、4月3日付オピニオンで「宗教法人に課税せよ」という「財務省へのちょうちん記事」が載った。
しかし朝日にも「良識派」の記者は存在しており、財務省の言いなりになっている上層部に反旗を翻し、財務省に強烈な「反撃記事」を打ったのが5日付の財務省批判記事であろう。
財務省は陰の最高権力とも呼ばれ、マスコミをも「国税」を武器に操ろうとしている。だが逆に弱みはマスコミ報道で"陰謀″を白日の下に晒されることだろう。朝日新聞には800万読者がいる。それに対して財務省はホームページで対抗するぐらいで、言論力では圧倒的な差がある。
朝日のジャーナリズム精神が未だ死んでいなければ、財務省の脅しに屈せず、その不正義を徹底的に糾してもらうことを期待したい。(仁)
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2012年4月6日付本欄 朝日新聞が一転、財務省・勝次官を批判
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4093
2012年4月3日付本欄 朝日が、財務省・国税庁の「ちょうちん記事」