社会保障と税の一体改革について国民の意見を聞くために、政府は「明日(あした)の安心」対話集会を各地で開催している。7日には兵庫県西宮、21日には和歌山市内のホテルで開催された。
和歌山の集会では、川端達夫総務相が、年金をはじめとする社会保障給付費は保険料で60.6兆円をカバーできるが、残りは国や地方の財政負担となっていることに言及し、国の予算さえも「半分は国債などの借金でまかなっているのが現状」と国家財政が危機的状態にあることを指摘した。さらに、「法人税を上げると企業が海外へ出て行く」ことが予想され、こうした一連の状況を改善するためには「消費税増税が最適」と述べた。
一見もっとものようではあるが、すべてが社会保障の維持を前提に語られていることに疑問を持つべきだろう。
21世紀政策研究所が公表した「グローバルJAPAN」の未来予測においては、2050年において、世界人口は100億人へと向かう中、日本人口は0.97憶人へと2割以上減少し、75歳以上の人口が965万人に増大、老人比率が24.6%という「超老齢国家」に変貌すると予想されている。
しかしながら、これは国家衰退の姿そのものであり、希望ある未来の姿とはかけ離れたものと言えるだろう。そんな未来が到来しないように手を打つことこそ政治家の仕事なのではないのだろうか。
例えば、一般企業の事業計画において、売上をマイナス予測し問答無用で経営規模の縮小へと舵を切る。それにともない新入社員の採用を50%以上削減しつつ、OBたちへの年金支給を含む福利厚生サービスの維持・継続を至上命題として、そのための資金確保を現役社員たちから給与天引きを断行する。もし、そんな事業体があったとすればどうなるのだろうか。
その答えは明白だ。有能な社員は転職し、株主総会にあっては、社長を筆頭とした経営陣の総入れ替えを迫ることだろう。
まずはムダを削り、現在利益が見込めるものから糧を得つつ、明日のメシの種を必死で開発する。これが経営改善を図る上での真っ当な考え方だ。
こんな簡単ことが分からず、甘言ばかり弄している今の政治家たちは、もはや総入れ替えするしかない。(寺)
【関連記事】
2010年6月号記事 年金問題の根本解決
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=803
【関連情報】
「明日の安心」対話集会 -社会保障と税の一体改革を考える