資源エネルギー庁が4日発表したレギュラーガソリンの店頭価格は、全国平均で1リットル当たり158.3円となり、7週連続の値上がりとなった。

ガソリン価格の高騰は、家計を圧迫し、企業の収益を圧迫している。ガソリンスタンドの表示価格を見るたびに愕然とするドライバーも多いだろう。

2009年の衆院選で「ガソリンの暫定税率廃止」を掲げた民主党は、国民の支持を受け政権を取った。翌年、公約どおり暫定税率を廃止したが、同時にガソリンの特例税率を設けたため、国民の税負担(1リットル当たり53.8円)は変わらずじまいだった。

このとき、ガソリンの3ヵ月平均小売価格が1リットル当たり160円を超えた場合は特例税率の運用を停止し、25.1円の減税を実施して価格を下げるトリガー条項が設けられた。

ところが、このトリガー条項が、東日本大震災の発生した翌月の、世の中が震災や原発事故で大騒ぎしている最中、多くの人が気づかない間に凍結されてしまった。だから、今のままでは、180円になっても200円になっても減税はされることはない。

凍結理由は、これが発動されると3ヵ月で4500億円の税収減となり、復興財源確保に支障をきたすということだったが、本当に復興を考えたならば逆だろう。

ガソリン高騰の打撃が最も大きいのは、自動車以外に、代替え交通手段が少ない地域の人々であり、被災地などは、まさにそのようなところだ。ガソリンの高騰は被災地を直撃し、復興に動き出した人たちの足かせになっている。

止まらないガソリンの高騰で国民の生活がさらに苦しくなり、旅行や消費も控えるようになって、景気がさらに落ち込む中で、どうして復興が進んでいくだろう。

民主党の政権公約が実現していたら、今のガソリン価格は130円台になっていた。そこへ来て野田佳彦首相は、消費税増税に「命を懸ける」と言っている。いい加減にしてほしいものだ。(泰)

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