軍政下で民主化が進むミャンマーの議会補選が1日、投開票が行われ、野党・国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー氏が当選した。NLDは補選対象45議席のうち全勝する勢いを見せている。

野党NLDが参加した選挙は1990年の総選挙以来22年ぶり。この選挙でNLDは圧勝したが、軍政が選挙結果を認めず政権に居座り続けた。

この背景には軍事政権の中国との関係強化があった。中国海軍に基地を貸したり、巨大ダムをつくるプロジェクトを中国と進めたりしていた。しかし一昨年から軍事政権は中国の「支配」を嫌い、アメリカに接近。スー・チー氏とも和解し、自宅軟禁を解除した。

ミャンマーは今も欧米からの経済制裁を受けているが、これを解除する条件として自由で公平な選挙が求められていた。今回の補選で欧米各国が制裁見直しに動くことになりそうだ。補選の議席数は上下院全体の6.5%なので、与党優位に変化はないが、2015年に総選挙が予定されている。このときに完全な自由選挙が行われるかどうかが一つの焦点となる。

日本も近々、大型インフラ整備のための円借款凍結解除を表明するという。

ミャンマーは、マラッカ海峡北方のインド洋に面した場所にあり、シーレーン(海上交通路)の要所を占める。その国が中国を切り捨てアメリカに付いたことは、日本の安全保障上、極めて重大な変化だ。日本としてさらなる経済支援、さらには軍事交流が求められる。(織)

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