中国の楊潔チ外相が全人代開会中の記者会見でアメリカ政府に対し、米中の信頼構築と対立回避のために中国の核心的利益への扱いを慎重に行うよう要請したことを、各紙が報じている。
とりわけ、「アメリカは中国の核心的利益である台湾とチベットに特に注意し、適切に対応しなければならない」と、東アジアの最大の火種について言及した。これは、アメリカの国際戦略の重点をアジアへ移しつつあることへの警戒の表れと言える。
中国共産党機関紙の「人民日報」が今年1月末から、初めて尖閣諸島に対して「核心的利益」という表現を使い始めたことが、大きな波紋を呼んだ。
核心的利益とは中国の領土領海であり、分離独立が許されない領域のことであり、その確保のためには中国は軍事行動も辞さない立場を明確にしている。
さらには2月に入って、尖閣諸島とその周辺の70の島について、中国固有の領土として島名を正式発表した。これらの動きは、尖閣諸島への「侵略宣言」ととらえるべきだとの声もある。
尖閣諸島を「核心的利益」と呼び始めた翌月に、アメリカに「核心的利益」に関する干渉をしないよう求めている事実は、深刻に受け止めなければならない。
中国の尖閣諸島領有に向けての布石は着々と打たれており、その尖閣諸島領有は沖縄や日本本土の勢力圏拡大への確実な布石となる。(光)
【関連記事】
2012年3月4日本欄 中国の国防費、2012年も2桁増