そろそろスギ花粉が飛散し始めている。春は、新しいことが始まって本来は心がはずむ季節だったはずだが、花粉アレルギーを持つ人には、憂鬱な季節となった。今や日本人全体の3割が悩まされているというデータもある。

このアレルギー反応を抑える抗体をダチョウの卵から抽出し、塗布したマスクやエアコンフィルター、スプレーが開発された。今月中にも販売が開始される予定で、花粉症に悩まされている人たちにとっては、またとない朗報だろう。

スギやヒノキの花粉によるアレルギーを抑える抗体を、ダチョウの卵から抽出することに成功したのは、京都府立大学大学院・生命環境科学研究科の塚本康浩教授(獣医学)のチーム。塚本教授は、これまでにも強毒性の鳥インフルエンザや新型インフルエンザの抗体を、ダチョウの卵を使って抽出することに成功している。食中毒を引き起こすノロウィルスの無害化などにも応用できる。

同チームは、神戸市内の施設で飼育しているダチョウが、春先になるとまぶたが腫れたり、涙目になったりすることに気づいて調べたところ、40羽のうち27羽がスギとヒノキの花粉症であることが判明。この花粉症のダチョウの卵から抗体を抽出して、花粉症を引き起こすアレルゲンといっしょにヒトの皮膚に塗ると、アレルギー症状が抑えられたという。

抗体生産は一般的に、マウス、ウサギ、ニワトリなどを使って行われているが、コストが高い上に大量生産ができないという難点がある。しかし、ダチョウはニワトリに比べて免疫力が非常に高く、鶏卵の25~30倍もの卵を産むため、大量の均質な抗体を生産することが可能となる。

ダチョウの卵1個から約4グラムの抗体を取り出すことができ、花粉を不活性化するマスクなら4万~8万枚分に相当する量になるそうだ。〈宮〉

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