大阪市議会でこのほど、「君が代起立斉唱条例」が可決、成立した。市議会では、「大阪維新の会」議員は過半数に達していないが、次期衆院選での協力を模索している公明党と、自民党が賛成に回っての可決となった。
条例には、その目的として「次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、わが国と郷土を愛する意識の高揚に資する」と記されている。
「君が代条例」は、大阪府では昨年6月、当時、府知事だった橋下氏の主導ですでに成立しており、府内の公立学校の行事での起立斉唱を教職員に義務付けていた。だが、去る2月24日に実施された府立高校の卒業式では、32校の内6校で計8人の教職員が、教育長の通達にあえて従わず、起立しなかった。
先の大戦中に、「日の丸」が国家神道を背景にしたナショナリズムの象徴として使われ、「君が代」が天皇を称えているとして、左翼的な思想の持ち主が多い日教組の教職員たちが、戦後70年近く経った今も抵抗し続けている。
1999年に、広島県立世羅高等学校で卒業式当日、君が代斉唱や日の丸掲揚に反対する教職員と文部省(当時)の通達との板挟みになっていた校長が自殺したことがきっかけとなり、「国旗国歌法」が施行された。にも関わらず、法律や上司の職務命令に従わない教職員がいることが、今回の大阪市の条例制定につながったのだ。
先の戦争に関する罪悪感を、自国の国旗や国歌に結びつけている国は日本だけではないだろうか。いい加減、敗戦の呪縛から自由になり、素直に自国を愛する心を養うべきだろう。〈宮〉
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