2月28日に行われた米大統領選の共和党予備選挙では、アリゾナ、ミシガン両州で、ロムニー前マサチューセッツ州知事が勝利を収めた。ロムニー氏はこのほど、所得税率の2割カットを打ち出しており、深刻な不況の影響を受けた地域で好感されたようだ。

一方で、接戦になったミシガン州の出口調査によれば、ロムニー氏への支持は高所得者層と高学歴層のいわゆる「エリート」に偏っている。

民主党は労働組合を支持基盤としている上、オバマ氏が富裕層への増税による「公平な分担」を選挙戦のテーマにしていることを考えれば、お金持ち票に頼るロムニー氏は苦戦する可能性が高い。労働者階級(working-class)の支持をどこまで広げられるかが、依然として同候補の課題である。

両州で2位だったサントラム氏は、ロムニー氏の地元ミシガンでの選挙戦を接戦に持ち込んだが、信仰上の敬虔さ以外の目立ったアピールを持たない弱点は、まだ克服されていない。

サントラム氏の台頭で、妊娠中絶など社会問題が議論にのぼる傾向が強まったが、「誰が本当の保守か」という共和党内の論争は、本選挙の帰趨を決める中間層を遠ざける難点がある。

2月29日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙は社説で、「共和党の有権者はオバマ氏批判を聞きたがっているが、それ以上に、多数の支持を集めてオバマ氏を負かせるだけの、よりよい未来を創る政策やビジョンを聞きたがっている」と論評している。

資金力で勝るロムニー氏はこれまで、トップに立とうとする候補に次々とネガティブ・キャンペーンを浴びせて優位を保ってきた。片やサントラム氏も、穏健派ロムニー氏への保守派の批判票を代表しているにすぎない。批判合戦から政策論争へと、議論の軸足を移す必要がある。

2008年のオバマ氏は"Yes, We Can"でブームを創ったが、有権者に期待感を持たせるようなビジョンが両候補ともに求められる。アメリカの将来をどうするのか、魅力的なビジョンを語ることで支持者を惹きつけるのでなければ、このままでは共和党の本選挙での展望は暗い。

【関連記事】

2012年4月号記事 「強いアメリカ」を復活させるのは誰か ギングリッチ、ロムニー、サントラム守護霊インタビュー

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3874

2012年2月21日付本欄 自信喪失のアメリカには強いリーダーが必要だ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3837

2012年3月1日付 「ザ・リバティweb」英語版

The interview with the guardian spirits of Romney and Santorum. Who will bring “the Strong America” back again?

http://global.the-liberty.com/2012/1587.html