来月、民政化1年を迎えるミャンマーで、言論の自由を進める方向と抑圧する方向のニュースが出ている。

11日付読売新聞より

  • ミャンマーは、約50年間続けてきた新聞の事前検閲制度を廃止し、また、民間メディアに日刊紙の発行を解禁する方針を明らかにした。日刊紙は国営の3紙のみで、民間の新聞・雑誌は週刊と月刊に限られてきた。
  • 「国境なき記者団」の最新の報道の自由ランキングで、ミャンマーは179カ国中169位と最低クラス。ある新聞経営者は「大きな進歩だが、それでも東南アジアの中では、報道の自由は劣る」と話す。

日刊紙の発行を禁じていたのは、検閲する側の都合だろう。先進諸国における民間の日刊紙の存在は決して自明のものではないことが、改めて分かる。

一方で、政治犯として禁錮68年に処されていたが1月に釈放された僧侶ガンビラ師が、10日、釈放後4週間で再逮捕された。国内紙では小さな扱いだが、11日付米紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンはかなりの紙面を割いている。同紙から。

  • ガンビラ師は釈放以来、政府批判を行い、インタビューで「ミャンマーにはまだ独裁国家の性格が残っている」と話していた。2007年の民主化運動の際に政府批判の拠点となり、その後政府によって閉鎖されたヤンゴンの僧院を再開させようとも試みていた。これが違法侵入罪に問われたための逮捕だった。
  • ガンビラ師は早朝に自宅で逮捕された。民政化する前の軍事政権が反政府運動家を逮捕するやり方と同じである。ミャンマーでは今なお少なくとも415人の政治犯が獄中にいる。今回の再逮捕は、ミャンマーでは言論への寛容(tolerance)にまだ限界があることを諸外国に示した。

チベットやミャンマーでは、宗教者が悪政に対し良心の声を挙げ、しばしば寺院などの宗教施設が「言論の自由」を求めて戦う砦となる。真理の徒として政府を批判する僧侶の勇気に敬意を表し、ミャンマー当局には言論の自由を進めることを求めたい。(司)

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2011年9月2日付本欄 ミャンマーで自由を感じられる数少ない場所

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