イランの脅威と核開発に対する対応について、アメリカ政府内外で議論が活発になっている。

クラッパー国家情報長官は1月31日、上院諜報委員会でアメリカの国防上の脅威について証言。昨年イランが駐米サウジ大使の暗殺を図ったことに関連し、「イラン政府高官の計算が変わり、政権を脅かすアメリカの行動に対抗して、アメリカ内で攻撃に及ぶ可能性が高くなったことを示している」と話した。

2日にはイスラエルのヤーロン副首相が、イランはアメリカ本土も狙えるミサイルの開発を進めているとの分析を示しており、核開発も含めて、イランがアメリカへの直接の脅威になりつつある現状を浮き彫りにした。

差し迫った問題としては、イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性が論じられている。

米ワシントン・ポスト紙の著名コラムニストのイグネイシャス氏は2日の記事(電子版)で、「4月、5月あるいは6月に、イスラエルがイランを攻撃する可能性が高いと、パネッタ国防長官は考えている」と指摘した。中東で孤立するイスラエルはイランの核武装を阻止する方針であり、イランの開発が進んでイスラエルが手を出せなくなる前に、核施設攻撃に踏み切る可能性がある。

イグネイシャス氏は米政府高官の見解として、イスラエルに攻撃を思いとどまらせるためには、イランが核開発は平和利用であることを保証するか、アメリカが秘密作戦などでイランの核開発を遅らせることが必要としている。

イランの核武装は中東での核拡散の引き金を引く恐れがあるが、新たな混乱を生むイスラエルによる軍事行動も可能な限り避けたいところだ。

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