世界貿易機関(WTO)の上級委員会は30日、中国がレアメタル(希少金属)に輸出制限をかけていることについて、WTOの協定違反にあたるという報告書を発表。上級委の報告書はWTOの最終審にあたり、中国の敗訴が確定した。
この問題については、米国や欧州連合(EU)、メキシコが訴えており、昨年7月、一審にあたる紛争処理小委員会の報告書で協定違反と指摘。これを不服とした中国が上訴し、上級委が審議していた。
対象となっていた鉱物資源は、マンガン、マグネシウム、ボーキサイトなどで、日本も利害関係のある「第三国」として紛争に関わっていた。中国は、ハイテク機器に使用するレアアース(希土類)についても輸出制限を行っており、今後、関係国はレアメタル同様に、紛争処理の手続きに入る可能性があるという。
今回、WTOが中国に「ノー」を突き付けたわけだが、政治的にも経済的にも影響力を拡大してきた中国に、国際社会のルールを守りなさい、という意思を示したことは当然と言えよう。
それは、軍事面でも同様である。目立った他国からの脅威がないにもかかわらず、20年以上にわたり軍事費の2桁増を続けていることは、領土拡大・他国侵略の野心があると見て間違いない。この点についても、国際社会は中国に対して陰に陽にけん制していく必要がある。
特に、海を隔てて中国と国境を接する日本にとっては死活問題だ。自国を守るためにも、世界に民主主義の価値を広めるためにも、日本は国際社会を動かすだけの外交力、政治力、経済力を高め、自由や豊かさを世界に広げていく役割を果たさねばならない。(格)
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2011年3月号本誌記事 「国が滅ぶ理由 ~『外交の鉄則』を固めよ~」
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幸福の科学出版ホームページ 『日本外交の鉄則 サムライ国家の気概を示せ』