マイクロソフトの創業者でビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同会長であるビル・ゲイツ氏が、27日付米紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンで、海外援助(foreign aid)の有効性を訴えている。巨額な資産の9割の分配を決めている人物の言葉だけに重みがある。

以下、ゲイツ氏の文章から。

  • アフリカの角(ソマリアなど)の食糧不足に対し21億ドル(約1620億円)の支援がされてきたことは、人類の与える心(generosity)の証明だ。援助が遅れていることを理由に、「海外援助は役に立っていないので削減すべき」との声が出ているのは、本当に情けない。
  • 削減論の根拠には、援助金や物資が腐敗した指導者層に流れたり、効果の薄いやり方で浪費されたり、必要な人々に届いても役に立っていないとの見方がある。だが、実績に目を向けるべきだ。かつて子供の死亡数は年間2千万人だったが、ここ50年で8百万人以下に減った。極貧者の割合も半分以下に減った。援助金のおかげで、ワクチン購入や農家の生産性(productivity)向上プログラムが実現したからだ。
  • 世界には食料不足の人々が10億人以上いる。その解決法(solution)は、貧しい農家が狭い土地からの収穫を増やせるよう支援することだ。私の財団はコメの品種改良に資金提供している。洪水に負けないコメができれば、バングラデシュとインドで計3千万人の飢えを防げる上、農家の収入が増えて子供を医者に診せたり学校に行かせたりできるようになる。
  • この世界は他人の苦しみを放っておけない場所であり、私はそのことが誇らしい(I am proud to live in a world where a stranger's suffering matters.)。にもかかわらず、海外援助への批判が増えている。この状況を打開するには、援助の真実(the truth about aid)を伝えることがベストだ。

明快な文章から、純粋な善意と熱意が伝わってくる。同氏は米国の教育についても生産性(performance)の向上を提言している。物質的にも知的にも生産性アップが、世界を向上させるための有効なソリューションなのだ。(司)

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2011年6月号記事 日本の教育経営再建プラン(後編)より「ビル・ゲイツ流教育改革」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1917