北京市当局はこのほど、中国版Twitterの「微博(ウェイボ)」について、利用者の実名登録を義務付ける規制を始めた。
中国のネット社会では民衆による政府批判が激しくなっており、3億人の利用者を持つ微博も、7月の高速鉄道事故などをめぐる政府対応を民衆が議論する場となってきた。
「アラブの春」でTwitterやFacebookが反政府派の連絡手段となったことで、中国政府はネット世論に敏感になっており、北京市と同様の規定が今後他の地域へと波及する可能性もある。
今回の規制についてある微博ユーザーは、「政府は鉄道事故で乗客リストを出さなかった。政府はスクール・バスの事故で犠牲者の子供たちのリストを出さなかった。そして政府はいま、数百万の微博ユーザーのリストを求めている!」と政府を皮肉った(17日付米ウォールストリート・ジャーナル紙)。
鬱積する共産党政府への不満は年間18万件もの抗議運動となって表れており、最近では広東省の漁村で土地の強制収用に反対する住民が、党役員と警察を村から追い出して占拠する事態も発生している。共産党政府は村の名前をネットから削除し、地元警察は村を包囲して食料の供給などを絶つ作戦に出ている。
中国の専制政治は、国内の村を「兵糧攻め」しなければならない、おかしな局面にまできている。来年秋には習近平氏が国家主席に就任する予定だが、新政権のアキレス腱が何よりも国内にあることは間違いない。
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